1. 自社の事業所が制度の対象かを、人が確かめる

まず、安全運転管理者を選任する制度の対象かを確認します。警察庁「安全運転管理者制度の概要」では、事業所等の使用の本拠ごとに、乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使用する場合の選任条件が示されています。大型・普通自動二輪車は1台を0.5台として数える注記や、運行管理者等を置く自動車運送事業者等の事業所は対象外という注記もあります(2026年10月21日確認)。

会社全体の台数だけで対象を決めず、担当者が事業所ごとの使用状況を公式案内と照合してください。判断に迷う場合は所轄の警察署に相談し、対象かどうかをAIに判定させません。

対象となる安全運転管理者の業務には、運転前後の酒気帯びの有無を目視等とアルコール検知器で確認し、その内容を記録して1年間保存すること、検知器を常時有効に保つことが含まれます。警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」では、目視等による確認・記録保存は2022年4月1日、検知器による確認等は2023年12月1日から施行と案内されています(2026年10月21日確認)。

2. 運転前・運転後の予定と実施を分けて記録する

ここからの記録の分け方・列・引き継ぎ手順はhirostaの提案です。公式の記録項目を踏まえ、予定だけの行と実際に確認した行を取り違えない形にします。

運転者・車両・対象の業務を対応づけ、運転前と運転後を別の行にします。警察庁Q&AのQ1では、一連の業務としての運転が対象であり、必ずしも個々の運転の直前・直後の都度ではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、終了後や退勤時に行うことで足りるとされています。移動のたびに同じ記録を重複させないよう、担当者が対象の業務を決めます。

記録表の列の例

  • 対象:日付、運転者の氏名、車両の登録番号または識別できる番号、運転前/運転後、対象の業務を識別する番号。
  • 予定:確認予定時刻、予定する確認者。実際に確認した時刻・確認者とは別の欄にします。
  • 実施:確認の方法、検知器の結果の有無(取得済み/未取得)、取得した測定結果、酒気帯びの有無、確認者、確認した日時、指示事項、その他必要な事項。
  • 進み具合と引き継ぎ:予定/実施記録あり/未確認、未確認の理由、引き継ぎ先、確認期限、引き継いだ日時、受け取った人。

警察庁Q&AのQ7にある確認者名・運転者・車両・確認日時・確認方法・酒気帯びの有無・指示事項等を残します。「検知器の結果を取得したか」と「酒気帯びがあるか」は別の情報です。「未取得」を「なし」や数値のゼロに置き換えません。実施記録があることも、運転してよいという承認を表しません。

対面が難しい場合も、予定した連絡方法だけで完了にしない

警察庁Q&AのQ2と通達第2項では、対面が原則です。直行直帰などで対面が困難な場合は、携帯型検知器を携行させるなどした上で、カメラ等で顔色・応答の声の調子等と測定結果を確認する方法や、電話等で直接対話して声の調子等を確認し、測定結果を報告させる方法が示されています(2026年10月21日確認)。

記録には「遠隔」とだけ書かず、実際に使った方法と確認者・日時を残します。予定した電話、結果の送信予定、画像だけの受領を、上記の確認が完了した記録に置き換えません。

3. 未確認の理由と、誰がいつまでに確かめるかを残す

予定時刻を過ぎた空欄、結果の未取得、確認者がいない行は「未確認」に分けます。空欄だけでは、実施しなかったのか、記入が漏れたのか分かりません。理由も分からなければ「理由未確認」と書き、調べる担当者を決めます。

以下は架空の会社「みなと商事」の架空の記録による想定シナリオです。実際の確認・運転・導入や、効果の検証を行った記録ではありません。表の時刻・担当者も説明用の設定です。

行・対象 予定と実施の区別 不足と引き継ぎ
A:10月21日、運転者A、車両01、運転前 予定8:30。対面・目視等と検知器による確認8:25、結果取得済み、測定表示0.00 mg/L、酒気帯びなし、確認者B、指示事項なし、という想定 実施記録あり。運転後は別の行で管理する
B:同日、運転者A、車両01、運転後 予定17:30。確認した時刻・確認者・方法・結果は空欄。17:40の記録見直しで未確認に分ける想定 実施・記入のどちらが不足か不明。担当Cが17:45までに安全運転管理者Bへ連絡し、本人への確認と記録の所在を照合する
C:同日、運転者D、車両02、運転前 予定9:00。8:50に予定確認者の不在が分かり、結果未取得・未確認のまま、という想定 担当Cが直ちに安全運転管理者Bへ連絡。運転開始前に確認できる体制と対応の指示を受ける。予定時刻までに解決しなくても実施済みにしない

引き継ぐときは、元の行を示し、「不足する項目・理由・次に確認する人・期限」を一緒に渡します。送っただけで終わりにせず、受け取った人と受領時刻を残してください。連絡がつかなければ未確認のまま責任者へ報告し、担当者不明の行を残さないようにします。

運転前の確認ができていない場合は、記録整理の期限を待って運転を始める流れにしません。 直ちに安全運転管理者へ連絡し、人が確認と必要な対応を行います。Q&AのQ6では、安全運転管理者が原則として確認し、不在等の場合はあらかじめ指定・指導教育した補助者による確認と、必要な報告・指示の体制を整えることが示されています。空いている人の名前を後から入れて代用しません。

運転後の不足を後日見つけた場合も、過去の確認時刻や結果を推測して埋めません。元の記録が見つかれば照合した人・日時と訂正理由を追記します。後から行った確認はその実施日時で残し、当時の確認が実施されたことにはしません。未確認を残すことは、必要な確認を省略してよいという意味ではありません。

4. 検知器の点検・故障・交換は別に管理する

警察庁Q&AのQ3と通達第2項は、取扱説明書に沿った使用・管理・保守と、定期的な故障の有無の確認を示しています。この記事では、点検間隔や交換期限を独自に一律設定しません。

hirostaの提案は、検知器ごとに識別番号を付け、取扱説明書の所在、点検日・担当者・結果、故障を見つけた日時、使用を止めた期間、修理・交換日を別の管理表に残すことです。酒気帯び確認の行からも、使用した検知器の番号をたどれるようにします。

故障で結果を取得できなければ、その理由を未確認の行に残し、安全運転管理者へ引き継ぎます。故障機器の値や前回の結果で埋めず、有効な検知器で確認できる体制を人が整えます。購入・交換に伴う資産管理は、設備・備品と固定資産台帳の照合と分けて扱ってください。

5. 記録を1年間保存し、必要な行を見返せる形にする

警察庁の案内とQ&AのQ7に基づき、酒気帯び確認の記録は1年間保存します。hirostaの提案は、保存先と管理担当者を決め、日付・運転者・車両・運転前後から取り出せる形にすることです。

紙でも表計算でも、未確認の行を消して完成した表だけを残す運用にはしません。元の記録、訂正・追記の理由と日時、引き継ぎの記録との対応を保ちます。担当交代時は保存先と未解決の行を渡し、必要な人が閲覧でき、関係のない人には公開されない保管方法を決めてください。

勤務時間の集計は、勤怠管理の記事で扱っています。出勤・退勤の記録があっても、酒気帯び確認を実施した証拠として自動転記しません。

AIは架空の表から「不足の候補」を挙げるところまで

まずは表計算の絞り込みで、予定のままの行、確認者・確認時刻が空欄の行、結果が未取得の行を確認します。AIを試す場合も、この記事のような架空の記録だけを使い、行番号・不足項目・不足と考えた理由の候補を挙げるところまでに限ります。実在の運転者の氏名・測定結果や社内の記録を入力しません。

例えば、上の表ならB・Cを不足候補として挙げ、人が元の行と照合します。これは使い方の説明であり、AIの抽出精度を検証した結果ではありません。候補から漏れた行も、人の確認を省略できるわけではありません。

空欄・予定・未取得の結果をAIで補いません。 確認者名・確認時刻・測定結果・酒気帯びの有無を推測させず、実施済みへの自動変更も行いません。酒気帯び確認そのものと、運転してよいかの判断は人が行います。記録表やAIの出力を、その判断の代わりにしないでください。