1. 便番号と指示時刻を先にそろえる
ここからの手順はhirostaの提案です。出荷・受入れの担当者が同じ便を追えるよう、日付と便番号を付け、運送会社は記号で管理します。同じ日に複数回訪れる場合も、便を区別してください。複数の施設で作業する便は、施設・作業区間も分けて記録します。
到着を指示した時刻、または時間帯の開始・終了を残します。「指示なし」と「指示の有無が未確認」は別の値にし、変更があれば変更前後の内容と伝達記録を残します。記録の方法・時刻の意味は、受付、荷役担当、運送会社の間でそろえます。
記録表の列の例
記録表には、次の列を用意します。法定様式ではなく、照合用の記録表の例です。
| 列 | 残す内容 |
|---|---|
| 日付・便番号・運送会社〔記号〕 | 便を区別する番号。施設、入荷・出荷の別も併記 |
| 指示時刻/時間帯 | 時刻または開始・終了、指示なし/未確認の別、伝達記録の参照先 |
| 到着 | 日付と時刻、到着場所。受付を起点にする場合は受付時刻と到着後の状況も残す |
| 荷役開始・荷役終了 | ドライバーが行う荷役・附帯業務の開始と終了、作業内容。中断・再開も区間で残す |
| 休憩 | 開始・終了、業務から完全に離れられたか、誰の指示か |
| 待機の理由 | 自社の準備、先行便、運送側の都合など。理由が変わった時刻も記録 |
| 理由の出典 | 受付・現場の記録番号、運送会社との確認記録など、区間ごとの根拠 |
| 記録者 | 各時刻・理由を誰が、いつ、どの方法で記録したか |
| 算定の可否 | 荷待ち/荷役等ごとに「可」「確認待ち」を記録。算定値と採用した区間も残す |
| 未確認の点 | 欠けた時刻・理由、確認先・担当者・確認期限、回答と修正履歴 |
2. 到着・開始・終了を、記録者と方法付きで残す
受付記録の到着時刻と、現場が記録した荷役開始・終了を便番号で照合します。紙なら記入者と記入時点、受付画面なら記録番号などを残し、後から元の記録へ戻れるようにします。端末間の時計のずれや、日付をまたぐ作業にも注意してください。
「荷役」は荷積み・荷卸しだけで終わるとは限りません。公式の「荷役等時間」は、ドライバーによる検品などの附帯業務や、荷主が行う荷役への立会いも含みます。自社の作業員だけの作業時間を、ドライバーの従事時間と混ぜないよう、作業内容と担当を記録します。
開始時刻が終了より後、受付と現場で便番号が違う、片方の時刻しかない場合は、そのまま差し引きません。元の記録を残して確認待ちにします。
3. 休憩・待機の理由を根拠と結び付ける
「待っていた」という記録だけでは、算定する区間が決まらない場合があります。自社の出荷準備が終わらなかった、先行便が作業中だった、運送側の遅着で順番が変わったなど、理由と区間を残します。担当者の推測と、現場・運送会社に確認した内容は分けてください。
公式の算定方法では、指示の有無と到着の状況によって荷待ちの起点が変わります。
- 指示がない場合:到着から荷役等の開始までが基本です。到着後すぐ受付を行う場合は、その受付時刻を使います。
- 指示より早く到着した場合:指示時刻等が起点です。早着からの全時間を自動で荷待ちにしません。
- 指示した時間帯内、または指示より後に到着した場合:到着(到着後すぐ受付を行う場合は受付)から荷役等の開始までが基本です。
ただし、業務から完全に離れられる休憩等は荷待ちに含めません。運送側の都合による遅着では、通常も生じる待ちと、順番の後ろ倒しで追加された待ちを分けます。後者は除外できるとされています。天候・交通事情など荷主等の責任によらない待ちも、通常生じる待ちを除き、除外できる扱いです。「遅着だから全部除外」とはしません。
荷役等時間は、ドライバーが従事した開始から終了までのうち、従事していない区間を除きます。「休憩」と書かれていても、車両をすぐ動かす必要や作業への立会いがあり、完全に業務を離れられない時間は、荷役等時間に含まれる場合があります。名称だけで差し引かず、実態と区間の根拠を確認します。
4. 算定できる便と、できない便を分ける
この記録表では、必要な時刻と理由の根拠がそろい、採用する区間を説明できるものを「可」とします。時刻・指示の有無・除外区間などが未確認なら「確認待ち」です。荷待ちと荷役等を別々に判定すれば、荷待ちだけ算定できない便でも、確認できた荷役等の記録を生かせます。
想定シナリオ:架空の「部品販売A社」の入荷3便
以下は架空の会社・架空の便の説明例です。実際の記録・運用・AI検証は行っていません。いずれも同日、ドライバーが荷卸しを行う想定です。
便A01・運送会社X(算定可)
- 指示9:00、到着8:50、荷役開始9:20、終了9:50。
- 受付担当が到着を受付表に、現場担当が開始・終了を作業表に記入。両表の便番号が一致しています。
- 9:00〜9:20は先行便の荷卸し待ちと現場記録にあり、休憩・中断はないことも確認済みです。
- 荷待ちは指示9:00からの20分、荷役等は30分。早着した10分は加えません。
便A02・運送会社Y(荷役等が確認待ち)
- 指示10:00〜10:30、到着10:10、開始10:25、終了は記録なし。
- 到着・開始の記録者と方法、開始までの自社準備待ちの根拠があり、休憩なしと確認済みのため、荷待ちは15分と算定できます。
- 終了時刻が不明なので荷役等は算定しません。前後の便や平均から埋めず、作業表と運送会社の記録を確認します。
便A03・運送会社Z(荷待ちが確認待ち)
- 指示11:00、到着11:20、開始11:50、終了12:10。受付表・作業表に記録者と方法は残っています。
- 到着から開始までの理由の出典がなく、遅着の経緯や追加の待ち、休憩の有無が未確認です。30分をそのまま荷待ちとして確定しません。
- 作業表で荷役中の中断なしを確認できているため、荷役等20分は算定可。荷待ちは現場と運送会社への確認待ちにします。
一覧を集計する際も、算定可の件数と時間、確認待ちの件数と理由を併記します。未確認をゼロ分として平均へ混ぜません。これは社内の把握方法の提案であり、そのまま行政への報告を満たすという意味ではありません。
5. 算定できない便を、確認と記録の見直しにつなげる
未確認欄に「誰に・何を・いつまでに確認するか」を残します。終了時刻なら現場の作業表と運送会社の記録、指示の有無なら伝達記録、待機理由なら対象区間の現場記録を照合します。回答が得られたら、確認者・確認日・根拠と修正前後を残します。確認できない場合は、その理由を記録して未算定のまま区別します。
終了の記入漏れが続くなら終了時の記録担当を決める、先行便の待ちが分からないなら待機理由と区間の記入欄を設ける、といった見直しにつなげます。新しいシステムの導入を前提にせず、まず今の受付・作業記録で不足する項目をそろえます。
AIは架空の表から確認待ちを挙げるところまで
AIを試すなら、実際の情報を含まない架空の記録表だけを使い、「時刻が欠けた便」「理由の出典がない便」「指示時刻より前に着いた便」を確認候補として挙げる範囲に限ります。早着は、それだけで記録不備ではなく、起点の確認が必要な便です。
不明な時刻や理由をAIに補わせないでください。 算定の可否や除外区間は人が根拠を確認し、確定した区間の計算は表計算などの決めた式で行います。AIの出力を確認済みの事実として扱いません。
実際の運送会社・ドライバーの情報を外部のAIサービスへ入力しないでください。会社名を記号にしただけでも、実際の便の時刻や拠点などから推測できる場合があります。記号化した実記録も、このAIの試行には使いません。
6. 荷主の取組と、運送事業者の乗務記録を区別する
荷主の努力義務は、荷待ち時間等の短縮や積載効率の向上などに向けたものです。一方、乗務記録の案内は、運送事業者側の記録に関する制度です。同じ時間を扱っていても、義務の主体と対象条件を混ぜないでください。
乗務記録の公式案内は、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のトラックを対象に、荷主都合で30分以上待機した場合の到着・出発、積込み・取卸しの開始・終了などの記録を説明しています。荷役作業等については、開始・終了、内容、荷主の確認が得られたかどうかも記録対象です。この記事の荷主向け記録表が、運送事業者の乗務記録を代替するわけではありません。また、30分未満なら社内の荷待ち把握も不要、という意味ではありません。
すべての中小企業に定期報告の義務があるわけではありません。特定荷主の指定基準は、第一種・第二種それぞれの立場の年度の取扱貨物重量9万トン以上です。単純に会社全体の重量を合算するものではなく、第二種には委託分や受渡し日時を指示できないものの除外などの条件があります。定期報告は、指定された特定事業者が指定翌年度以降に行うものとして説明されています。
自社が対象に当たるかは、最新の公式資料と所管窓口で確認してください。この記事では個社の該当性の判断や、行政への報告書作成は扱いません。
納品書や分納の数量は、時間の記録とは別に管理します。帳票と数量の引き継ぎは見積・発注・納品の手順を参照してください。