1. 最初に、登録製品で足りるかを確認する

カタログ注文型は、補助対象として登録された省力化製品を選び、登録された販売事業者と共同で取り組む仕組みです。一般型は、個々の現場や事業内容に合わせた設備導入・システム構築を検討する仕組みです。

ただし、「カタログにないから一般型で申請できる」とは限りません。一般型の第8回公募要領「重要」は、検討前に製品カタログを確認するよう求めています。登録製品をそのまま導入する場合と、現場に応じて周辺機器・構成・機能を変えたり、複数の汎用設備を組み合わせたりする場合を分けています。

両類型とも、企業規模・業種などの対象者の定義や対象外となる事業者を確認します。カタログ注文型では人手不足の状態の確認も必要です。一般型の第8回は従業員が0人の場合などは応募できません。自社に合うかは、カタログ注文型要領の2-3・3-2・4と一般型第8回要領の2をそれぞれ確認してください。

2. 対象投資・申請体制・省力化の説明を比べる

以下は2026年10月24日に確認した比較です。一般型は受付終了済みの第8回要領に基づきます。第9回の条件を示すものではありません。

比較項目 カタログ注文型 一般型(第8回の参考)
対象になる投資 登録製品の本体と、要件に合う導入経費。導入経費だけの申請はできません。要領2-2 現場に合わせた設備・システム。機械装置・システム構築費が必須で、他の経費にも区分・制限があります。要領3
申請する体制 対象製品の販売事業者と事業計画を策定し、共同申請します。公式の流れ STEP 3・4 申請者自身が事業計画を作成し、応募内容を理解・確認して電子申請します。採択後に見積り・事業者選定、交付申請へ進みます。公式の流れ STEP 2〜5
省力化の説明 製品の使い方、期待する省力化、空く時間・人員の活用先を説明します。要領3-2(3) 導入前後の業務時間から省力化指数を計算し、投資回収期間を根拠資料とともに示します。付加価値額の増加なども計画します。要領1-2・1-5

どちらも、「AIを入れる」という説明だけで終わらせず、どの作業が変わるかを整理します。減る転記時間だけでなく、導入後の確認・修正にかかる時間も含めて見積もることが大切です。

一般型でも、AI開発費なら何でも対象にはならない

第8回要領の3-1では、補助事業専用のソフトウェア・情報システムの購入・構築等を対象経費に含めています。ただし、単価50万円(税抜)以上の設備投資を少なくとも1つ行うことが必要で、借用に要する経費はこの必須投資に含みません。構築費の価格の妥当性を示す仕様書や、実績報告時の要件定義書・開発費用算出資料なども確認が必要です。

同要領の3-2は、自社の人員で開発する際の人件費を対象外としています。既存システムのバージョンアップ・改修費も原則として対象外ですが、補助事業で新規に開発・導入するシステムとの連携に必要な改修費は対象となります。

クラウドサービス利用費にも、補助事業専用か、対象期間内の費用かといった制限があります。開発、利用料、保守、業務相談を見積りで分け、費目ごとに事務局へ確認してください。根拠:第8回要領3-1・3-2(改修費の例外は23ページ)

3. 賃上げと、導入後の計画・報告も比べる

補助額の上限だけで選ばず、導入後に自社で実行・報告できる条件かを確認します。

カタログ注文型の条件

  • 基本要件は、補助事業終了後3年間で、毎年、申請時に比べて労働生産性を年平均3.0%以上高める事業計画を策定し、取り組むことです。
  • 補助上限額の引上げを使う場合は、事業場内最低賃金3.0%以上、給与支給総額6.0%以上の増加という両方の目標などが加わります。2回目以降の申請では、生産性・前回の効果・最低賃金などの追加要件があります。
  • 製品導入後は支払い・導入の証拠や計画の達成状況を実績報告し、補助事業完了後の効果報告期間3年間は、稼働状況や省力化・賃上げの実績を毎年度報告します。

根拠:カタログ注文型要領2-1・3、公式の流れ STEP 6〜8。賃上げの目標未達や報告後の賃金引下げは、条件により減額・返還につながります。

一般型の条件(第8回の参考)

基本要件は、3〜5年の事業計画で次を満たすことです。

  • 労働生産性を年平均4.0%以上増加させる。
  • 1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させる。
  • 事業場内最低賃金を、毎年、事業実施都道府県の最低賃金より30円以上高い水準とする。最低賃金引上げ特例を適用する場合、この要件は適用されません。
  • 従業員21人以上の場合、交付申請時までに有効な一般事業主行動計画を公表する。

賃上げ目標の表明や、未達時の返還条件も確認します。導入・支払い後の実績報告に加え、事業計画期間の1年目終了後、最初の4月から5年間、毎年の効果報告が案内されています。計画が3年でも、報告が3年で終わると考えないでください。

根拠:第8回要領1-5・6・7、公式の流れ STEP 7〜9。特例や免除の条件、賃金の算定方法は個別に確認し、第9回の要領公開時に見直します。

4. 受付時期と、契約してよい時点を確認する

2026年10月24日時点の公式案内は次のとおりです。

類型 受付状況・予定 根拠
カタログ注文型 随時受付 公式トップ
一般型・第8回 2026年10月16日17時に応募申請の受付終了 公式トップのお知らせ
一般型・第9回 11月上旬公募開始、12月上旬申請受付開始、12月下旬申請締切の予定。確定日は未公表 公式トップの第9回予定

公募開始と申請受付開始は別です。第9回の予定から確定日や審査期間を逆算せず、要領公開時と受付開始時に公式案内を確認してください。

また、申請や採択だけを理由に発注しないでください。カタログ注文型要領3-4と一般型第8回要領3-1・3-2に従い、交付決定を確認してから契約・発注します。一般型は採択と交付決定が別の段階です。

いずれも、実績報告と補助額の確定後に請求・交付へ進む流れです。入金前に支払う資金、対象外費用、導入後の維持費を用意できるかを確認します。交付決定額の全額が支払われるとは限りません。根拠:カタログ注文型の流れ、一般型の流れ。

5. 自社で判断するための4つの手順

  1. 省力化したい作業を決める:対象工程、件数、現在の作業時間、人手不足の状況を整理します。導入後も人が確認する作業と、その担当を決めます。
  2. 登録製品で足りるかを確かめる:製品カタログで製品と販売事業者を探します。現場の条件、必要な機能、導入・保守の範囲を販売事業者に確認します。登録されているだけで、自社で同じ効果が出るとは限りません。
  3. 足りなければ一般型の要件と時期を確かめる:足りない機能と専用設計が必要な理由をまとめます。対象経費、賃上げ、事業計画、報告の体制を確認し、第9回は要領の公表を待って条件を照合します。
  4. 販売事業者・支援機関に相談し、責任者が判断する:作業の整理、製品候補、見積りの内訳、資金・納期をそろえます。制度の対象可否は事務局に、計画や資金面は支援機関・金融機関にも相談します。最終的な申請内容、契約、支払い、報告は自社の責任者が確認します。

想定シナリオ:検品と転記を減らしたい架空の製造会社

以下は検討手順を示す架空の例で、hirostaやお客様の実績、補助対象の認定、効果の測定結果ではありません。

製品を目視で検品し、結果を台帳へ転記している会社が、検査装置と結果の記録を自動化する仕組みを検討するとします。まず、製品カタログの登録製品で必要な検査・記録まで対応できるかを販売事業者に確認します。

既存ラインの配置や製品ごとの条件に合わせた専用設計が必要なら、足りない機能を整理して一般型を検討します。AIで検査を補助する案でも、判定が不明な製品の扱い、不良品の最終判断、記録の修正は人が担う前提で、導入後に残る時間を見積もります。

開発費を一括で補助対象と考えず、装置・専用システム・利用料・保守費を分けて確認します。第9回の条件、交付決定後の納期、賃上げを続ける資金を確認してから、申請するかを判断します。

6. 他の制度やhirostaの支援との違い

登録ITツールの導入はAI導入に使える補助金・助成金、社員研修はAI研修とリスキリング助成金、賃上げを伴う設備投資は業務改善助成金の記事、労働時間・休暇の改善は働き方改革推進支援助成金の記事で、別制度として確認してください。同じ経費に複数制度を使えると決めつけず、併用の可否も各窓口で確認します。

制度全体の入口は助成金・補助金の案内、開発・連携の支援範囲はシステム開発、費用・契約はサービス・料金をご覧ください。hirostaが提供する支援や月額料金が補助対象になると案内するものではありません。申請代行は行わず、情報提供・社内の業務改善計画の整理・自社サービスの説明の範囲で対応します。