1. 試したこと:訳し戻しと英語の直接照合を比べる

商品紹介文の数字が同じでも、cmがインチに変わったり、「送料別」が消えたりすれば、伝える事実は変わります。今回は、英語を日本語に訳し戻すとその違いに気付けるか、英語を仕様と直接比べた場合と何が違うかを試しました。

商品紹介文をAIで作る手順は、原文・現地語案・要確認事項を並べる手順の提案です。本記事はその一般説明を繰り返す代わりに、架空の物品3点で実際に作った文と照合結果を残します。体験商品の仕様照合とは、翻訳を挟んで条件がどう残るかを見る点が異なります。

今回の結論は、用意した6行の違いは両方の方法で指摘できたが、訳し戻しだけで十分とは分からなかった、です。 1回の試作で、同じAIが元の仕様も編集箇所も知っています。独立した確認者の成績としては読めません。

2. 作り方の要点:仕様を固定し、英語だけを訳し戻す手順に分けた

架空の商品3点と日本語の紹介文

仕様は各7行です。各商品の照合表の「仕様」欄が、今回固定した事実の全行です。価格は比較用の架空の設定で、hirostaの販売商品・価格ではありません。

A・布製ポーチの日本語原文

綿100%の布製ポーチです。幅20×高さ12cm、1袋2個入り。手洗いのみでお手入れしてください。1袋1,200円(税込)、送料は別です。防水ではありません。色を選べるかは未確定です。

B・保冷バッグの日本語原文

表地ポリエステル、内側アルミ蒸着フィルムの保冷バッグです。幅30×高さ25×奥行15cm、1個で販売します。汚れは湿った布で拭き、洗濯はしないでください。1個2,400円(税込)で保冷剤は別売です。保冷時間は保証していません。耐荷重は未確定です。

C・木製小物入れの日本語原文

無塗装のブナ材で作った小物入れです。外寸は幅18×奥行10×高さ6cm、1個で販売します。乾いた布で拭き、水洗いはしないでください。1個1,800円(税込)、名入れ代は含みません。木目・色には個体差があります。食品を直接入れられるかは未確認です。

英訳後、照合用に6行を意図的に編集した

作業するAI自身が英訳し、数量・送料条件・手入れ・個体差を削り、寸法の単位と食品接触の記載を変えました。以下は編集後の英語案です。偶然に6行の翻訳ミスが生じたという記録ではありません。 編集前の英訳の品質比較はしていません。

A・英語案

A 100% cotton pouch, measuring 20 cm wide and 12 cm high. Hand wash only. JPY 1,200 per pack, including tax. Not waterproof. Whether a colour can be selected is undecided.

B・英語案

A cooler bag with a polyester outer fabric and an aluminium-metallised film lining. Measures 30 inches wide, 25 inches high and 15 inches deep. Sold individually at JPY 2,400 including tax; ice packs sold separately. No cooling duration is guaranteed. Load capacity is undecided.

C・英語案

An uncoated beechwood organiser. External dimensions: 18 cm wide, 10 cm deep and 6 cm high. Sold individually. Wipe with a dry cloth; do not wash with water. JPY 1,800 each, including tax; personalisation is not included. Safe for direct contact with food.

次に、英語案だけを翻訳の入力とする手順へ切り替えました。指示の要点は次のとおりです。

英語案を日本語へ訳し戻す。数値と単位を維持し、単位換算はしない。
英語にない仕様を、日本語の原文から補わない。
否定、未確定、価格の条件を英語にあるとおり残す。
その後、仕様の各行と訳し戻しを照合し、区分と理由を残す。

同じ会話の中で工程を分けたもので、元の日本語を見られない別のAIに依頼したわけではありません。「英語だけを入力にする」という指示で、会話の文脈を消したとは扱っていません。

最初の形と直したこと

最初は、仕様番号と訳し戻しを比べ、違いのある6行を指摘する一覧にしました。これでは、英語でどこが変わったのかを確認票から追えません。そこで英語案を直接仕様表と照合し、全21行に英語の該当句・訳し戻し・理由を並べる確認票へ直しました。英語案そのものの修正や、修正後の再翻訳は今回行っていません。

3. 結果:21行のうち同じ6行を両方で指摘した

以下が修正版の確認票です。訳し戻し欄は、実際に作成した日本語を項目ごとに分けたものです。「記載なし」は訳文の語句ではなく、照合時に付けた注記です。

スマートフォンでは表を横にスクロールすると、右端の「区分・理由」まで確認できます。

区分は「一致」「抜け」「変化」「追加」。行内の条件が一部でも欠ければ「抜け」、意味が変われば「変化」とします。「追加」は仕様にない主張だけが増えた場合です。未確認を安全の断定にしたC7は「変化」に1回だけ数え、根拠のない断定の追加も理由に記しました。一致も含め、全行が人の確認待ちです。

A・布製ポーチ

仕様番号・仕様 英語案の該当箇所 訳し戻し 区分・理由
A1 素材:綿100% 100% cotton 綿100% 一致。素材と割合が同じ
A2 寸法:幅20×高さ12cm 20 cm wide and 12 cm high 幅20cm、高さ12cm 一致。方向・数値・単位が同じ
A3 数量:1袋2個入り 記載なし(per packは価格の単位のみ) 記載なし 抜け。1袋の中の個数がない
A4 手入れ:手洗いのみ Hand wash only 手洗いのみ 一致。手入れの制限が同じ
A5 価格:1袋1,200円(税込)、送料別 JPY 1,200 per pack, including tax 1袋1,200円、税込み 抜け。送料別がない。送料無料と断定したわけではない
A6 注意:防水ではない Not waterproof 防水ではありません 一致。否定が残っている
A7 未確定:色の選択可否 Whether a colour can be selected is undecided 色を選択できるかは未定 一致。選べる・選べないを決めていない

B・保冷バッグ

仕様番号・仕様 英語案の該当箇所 訳し戻し 区分・理由
B1 素材:表地ポリエステル、内側アルミ蒸着フィルム polyester outer fabric / aluminium-metallised film lining 表地はポリエステル、裏地はアルミ蒸着フィルム 一致。今回の仕様では内側と裏地を同じ部位として照合
B2 寸法:幅30×高さ25×奥行15cm 30 inches wide, 25 inches high and 15 inches deep 幅30インチ、高さ25インチ、奥行15インチ 変化。数値を維持して単位だけ変えた。換算ではない
B3 数量:1個 Sold individually 1個で販売 一致。販売単位が同じ
B4 手入れ:湿った布で拭く、洗濯不可 記載なし 記載なし 抜け。拭き方と洗濯不可の両方がない
B5 価格:1個2,400円(税込)、保冷剤別売 JPY 2,400 including tax; ice packs sold separately 1個2,400円(税込)、保冷剤は別売 一致。金額・税・別売が残る。個数はB3の句も参照
B6 注意:保冷時間は保証しない No cooling duration is guaranteed 保冷時間の保証はありません 一致。保証しない条件が残る
B7 未確定:耐荷重 Load capacity is undecided 耐荷重は未定 一致。耐荷重の数値を補っていない

C・木製小物入れ

仕様番号・仕様 英語案の該当箇所 訳し戻し 区分・理由
C1 素材:無塗装のブナ材 uncoated beechwood 無塗装のブナ材 一致。素材と仕上げが同じ
C2 寸法:外寸 幅18×奥行10×高さ6cm External dimensions: 18 cm wide, 10 cm deep and 6 cm high 外寸は幅18cm、奥行10cm、高さ6cm 一致。外寸・方向・数値・単位が同じ
C3 数量:1個 Sold individually 1個単位で販売 一致。販売単位が同じ
C4 手入れ:乾いた布で拭く、水洗い不可 Wipe with a dry cloth; do not wash with water 乾いた布で拭き、水洗いしない 一致。拭き方と禁止が残る
C5 価格:1個1,800円(税込)、名入れ代を含まない JPY 1,800 each, including tax; personalisation is not included 1個1,800円(税込)、名入れ代は含みません 一致。今回はpersonalisationを名入れの意味として照合。英語の表現の適切さは未評価
C6 注意:木目・色に個体差あり 記載なし 記載なし 抜け。個体差への注意がない
C7 未確認:食品を直接入れられるか Safe for direct contact with food 食品に直接触れても安全 変化。未確認を安全の断定に変更し、根拠のない約束を追加

2つの経路の違い

比べたもの 一致 抜け 変化 追加のみ 違いを指摘した行
仕様と訳し戻し(初版) 15行 4行 2行 0行 A3・A5・B2・B4・C6・C7
仕様と英語案(直接照合) 15行 4行 2行 0行 A3・A5・B2・B4・C6・C7

各行を1回ずつ数えた21行の集計です。B4のように2条件が欠けても1行と数えます。訳し戻しだけで見落とし、直接照合で初めて指摘したものは、この試作では0行でした。逆に訳し戻しだけで指摘したものも0行です。

英語を直接見ると、A3の「per pack」は袋当たりの価格を表すだけで、内容量の「2個」を示していないと根拠を残せます。B2も、数値だけなら一致して見えますが、英語の「inches」まで残すと単位の違いを確認できます。今回は訳し戻しでも「インチ」が残り、どちらでも変化を指摘しました。

かかった時間と測定範囲

素材作成前から、訳し戻し・初版の照合・直接照合の記録保存後まで、時計で測った経過は37秒でした(2026年10月17日14時06分54秒〜14時07分31秒、JST)。同じAIによる短文の作成、読み合わせ、資料読み取り、ファイル保存・待ち時間を含む1回の経過です。各処理だけの時間、人の確認時間、記事執筆・サイトのビルド時間は測定対象にしていません。実務の所要時間や削減効果には置き換えられません。

4. うまくいかなかったことと、確かめられなかった限界

最初の一覧は違いを指摘できても、英語の根拠を示せませんでした。修正版は一致した行も含め、英語案へ戻れる形にしています。これは確認票の改善であり、翻訳品質や見落とし率が改善したという測定ではありません。

また、今回は訳し戻しだけでは見落とす事例を観察できませんでした。 元の日本語に寄せて条件を補って戻る、単位や曖昧さが訳し戻しで消える、といった現象を実際に確認したとは書けません。元の仕様を知る同じAIが、意図して作った違いを読む条件なので、両方の結果が同じでも、2つの独立した確認を通ったことにはなりません。

意図的な6行は、数量・単位・条件などの明示的な違いです。長文、曖昧な限定表現、別の会話・別の確認者での訳し戻し、偶発的な誤訳、複数回のばらつきは扱っていません。英語の語感・通じやすさ・販売先に合う表現も評価していません。

5. 実際の業務で使う前に確認すること

  • 商品担当者が仕様を確定する。 版・確認日・担当を付け、未確定は未確定のまま残します。「記載なし」「提供なし」「未確認」を分けます。
  • 英語の確認者が英語案そのものを見る。 訳し戻しが似ていても、単位、否定、金額の条件、断定の強さを英語から確認します。自然さは事実との一致とは別に判断します。
  • 確認票で違いを担当者へ戻す。 A3・A5・B4・C6は欠けた仕様の追記候補、B2は単位の修正候補です。C7は根拠のない安全の断定を取り下げ、確認できるまで保留します。今回、担当者への依頼はしていません。
  • 直した版をもう一度照合する。 原文・仕様・英語・訳し戻しの版をそろえ、商品担当者と英語の確認者の確認結果を残して、公開責任者が判断します。この人の確認・修正後の再照合・公開は未実施です。
  • AIへ渡せる情報を選ぶ。 実在の商品や未公開の取引条件へ広げる前に、利用環境と社内ルールを確認します。今回の架空データをそのまま商品の表示や安全判断に使わないでください。

6. 相談への案内

商品仕様が資料ごとに違う、英訳のどこを確認すべきか分からない場合は、仕様の正本と確認する人を整理するところから始められます。AI業務改善ガイドと支援内容・料金をご覧のうえ、今の確認作業を無料相談でお知らせください。