1. 公開されている支援用途を、確認手順の参考にする

中小機構の生成AI活用ツール集には、海外展開の検討に使うプロンプトが公開されています。商品紹介文ローカライズは、対象国・言語・原文などから現地語の複数案を作り、日本語訳と表現の理由を添え、リスクを別枠に整理する構成です。ツール集では、原典や専門家による確認と、AIの出力が変わり得ることも案内しています。

以下は、その公開例を参考にした中小企業向けのhirostaの提案です。出典のプロンプトは転載せず、入力と確認の受け渡しに絞って説明します。公的機関の公開例があることを、完成文の正しさや販売効果の根拠にはしません。

2. 日本語の原文と、変えてはいけない事実を分ける

原文には魅力を伝える言い回しと仕様が混ざっています。「丁寧な仕上げ」を現地で伝わる言葉にすることと、「綿」を別の素材に変えることは別です。まず最新の仕様書や料金表で事実を確定します。事実の整理と元資料との照合の詳しい方法は、商品説明文を元の仕様と照合する手順を使ってください。

表には確認元・版・確認日・担当者を添え、未確定を空欄のままにしません。価格は対象商品や送料などの条件も一緒に扱います。AIに入力するのは、社内で入力が認められた範囲だけにし、非公開の商品資料や顧客情報をそのまま渡さないでください。

想定シナリオ:架空の布製ポーチを紹介する

架空の会社「つむぎ雑貨」が、架空の販売先「リーネ国」のECに英語で商品を紹介すると仮定します。国・使用言語の設定も説明用で、実在市場の文化や購買傾向を表すものではありません。以下の仕様と文例は、実際にAIへ送信して得た結果ではありません。

準備する欄 想定例の内容
日本語の原文 綿の布製ポーチです。裏地があり、手洗いできます。贈り物にも使えます。
変えてはいけない事実:素材 表地は綿。裏地の素材は未確定で、商品担当者へ確認する
変えてはいけない事実:仕様 裏地あり。防水性能は確認されていない
変えてはいけない事実:手入れ 手洗い可。洗濯機対応とは書かない
数量・寸法 現行仕様書の値と単位を記入する。この例では文案に含めない
価格の条件 掲載価格と送料の扱いは販売担当者の確認待ち。文案で補わない
原文から分ける提案 贈り物としての紹介は表現案。包装の付属を意味しない
用途・読み手・言語 ECの商品紹介欄。日用品を探す消費者向け。英語。短い説明文

実務では数量・寸法も確定値で埋めます。紹介欄で省く場合は、商品ページの仕様欄に載ることを確認します。「未確定」と「提供なし」は同じではありません。AIに不足分を推測させず、担当者への質問に分けます。

3. 案ごとに、原文・現地語・訳し戻し・理由・要確認を並べる

AIには、原文と事実表、用途、対象国と言語、読み手、希望する語調を渡します。言い回しの違う案を求める際も、事実表の内容は変更せず、未確定の仕様や効果を補わないよう伝えます。

確認用には、案ごとに次の欄をひとまとまりにします。 長い文章なら、文ごとに同じ組み合わせを繰り返します。日本語への訳し戻しは原文を再掲させず、現地語案が何を述べているかを条件も含めて訳すよう依頼します。

案A:素材と手入れを先に伝える想定例

確認用の欄 文例・確認事項
対応する原文 綿の布製ポーチです。裏地があり、手洗いできます。
現地語案 A pouch with a cotton outer fabric and a lining. Hand washable.
日本語への訳し戻し 表地は綿で、裏地のあるポーチ。手洗い可能。
表現の理由 素材と手入れ方法を先に置く案。綿なのは表地と示し、裏地の素材まで綿と広げない
事実表との対応 素材・裏地・手洗いの各行と照合する
要確認 裏地の素材。現地語としての語順や手入れ表現の自然さ

案B:贈り物としての使い方を先に伝える想定例

確認用の欄 文例・確認事項
対応する原文 贈り物にも使えます。綿の布製ポーチです。裏地があり、手洗いできます。
現地語案 A pouch to give as a gift, with a cotton outer fabric and a lining. Hand washable.
日本語への訳し戻し 贈り物にするポーチ。表地は綿で、裏地があり、手洗い可能。
表現の理由 用途を先に示す案。贈答用の包装が付くという約束は加えない。現地で好まれるかは仮説のまま
事実表との対応 素材・裏地・手洗いは案Aと同じ。用途の提案と付属品の事実を分ける
要確認 贈り物としての紹介が用途に合うか、包装が付くと誤解されないかを販売先に聞く

どちらも公開用の完成訳ではありません。AIが説明した「表現の理由」も正解の証明にはならず、比較するための仮説として読みます。案Aと案Bの訳し戻しを混ぜたり、片方の確認結果をもう片方に流用したりしないでください。

4. 事実の一致と、現地語の自然さを分けて確認する

まず商品担当者が、各案を事実表と1行ずつ照合します。素材・数量・単位・価格条件が変わっていないか、未確認の性能や付属品が増えていないかを見ます。表の側からも、必要な条件が商品ページのどこに載るかを逆に確認します。

たとえば、防水性能を確認していないのに「waterproof」が入った案は、魅力的に見えても差し戻します。「贈り物向け」を理由に包装付きとしたり、手洗い可を洗濯機対応にしたりするのも、言い換えではなく事実の変更です。

次に、現地語を確認できる人が、現地語案そのものと用途を見て自然さを確認します。対象の読み手に通じる語、語調、誤解を招く含みを確認し、修正した表現と理由を残します。日本語の訳し戻しが原文と似ていても、元の現地語に不自然さや誤りが残る可能性があります。訳し戻しだけでは翻訳品質を確認できません。

自然さを直した後も事実表と再照合します。事実が合っていても現地語を確認する人がいなければ、公開用の完成文とは扱わず、確認できる人を手配する段階で止めます。

5. 要確認事項を担当者へ戻し、採用する版を揃える

「要確認」は文案の末尾にまとめるだけでなく、該当する案・文に結び付け、誰が何を確かめるかを残します。

戻す事項 担当者への確認例
商品の未確定事項 商品担当者へ:裏地の素材は何か。現行仕様書に反映できるか
販売条件 販売担当者へ:掲載価格と送料の扱いを確定できるか
現地での表現 現地語の確認者・販売先へ:語調は用途に合うか。贈答包装の付属を連想させないか
現地で別途確かめる事項 現地の専門家・販売先へ:この商品の紹介や表示で確認すべき条件は何か

現地の法令・表示規制・関税・為替については、この記事の文例やAIの回答で判断せず、現地の専門家・販売先に確かめる事項として扱います。調査資料を使う場合の出典と時期の整理は、AIによる市場調査の確認手順をご覧ください。

回答が得られたら事実表を更新し、採用案の現地語と訳し戻しを修正します。必要な確認が終わるまで、社内向けの「要確認」をお客様向けの完成文として掲載しません。採用案、原文と事実表の版、現地語・訳し戻しの版、確認者と確認日、保留事項を揃え、公開を判断する人へ渡します。

この記事は海外向け商品紹介の照合に絞っています。SNS投稿として制作・承認する流れは、SNS投稿の下書き・確認・承認の進め方で扱います。