1. 試したこと:取り込みの後を、工程ごとに分ける
フォルダ監視を再開するとき、書類を取得できたことだけでは、通知や転記まで終わったか分かりません。今回は取得済みの架空書類について、次に進める工程と、確認まで止める工程を分ける試作をしました。
復旧全体の進め方はフォルダ監視の復旧手順に譲り、ここでは文字の履歴を整理した結果を示します。取得一覧の全件性の検証ラボが扱うページ取得・一覧の網羅性や、問い合わせメールの検証ラボの同じ実行内でのメールID照合は対象にしていません。
2. 作り方の要点:書類・版・工程の想定を先に固定する
用意した架空の書類と文字の履歴
全6書類を取得済みとする設定です。書類3(数量票C)だけは旧版(第1版)と新版(第2版)を用意したため、版ごとに分けると7組です。以下の担当者の確認記録も、実際の人に聞いた記録ではなく、試作用に作った架空の入力です。
| 書類 | 文字の履歴の要点 |
|---|---|
| 書類1(受付票A) | 保存・通知・転記の記録に、それぞれ同じ書類・版・受付番号で完了とある |
| 書類2(受付票B) | 保存は完了。通知と転記は、未着手・実行者なし・手動処理なしと管理記録にある |
| 書類3の旧版(数量票C・第1版) | 旧版の保存・通知・転記は完了 |
| 書類3の新版(数量票C・第2版) | 新版の保存は完了。変更票には数量の訂正とある。通知・転記は未着手だが、旧版への訂正方法は未決 |
| 書類4(受付票A) | 書類1と同名だが別の書類で、受付番号も別。保存は完了。通知と転記は、未着手・実行者なし・手動処理なしと管理記録にある |
| 書類5(受付票E) | 保存・通知・転記は完了。受付箱から保管箱へ移動しただけで、書類・版・受付番号・内容は変わらない |
| 書類6(受付票F) | 保存は完了。通知を始めた後に記録が途切れ、送れたかどうかは不明。転記履歴は欠落し、転記先と手動処理の有無も未確認 |
今回の架空設定では、書類2(受付票B)と書類4(受付票A)は通知が完了してから転記します。再開の表に両工程があっても、同時に走らせる意味ではありません。
整理する前に保存した想定表
履歴を用意した段階で、各書類・版・工程の正解として、次の想定と根拠・確認先を保存しました。初版・修正版を作る前後で想定ファイルのSHA-256が一致し、後から結果に合わせて変えていないことを確認しています。
| 書類 | 保存 | 通知 | 転記 |
|---|---|---|---|
| 書類1(受付票A) | 再実行不要 | 再実行不要 | 再実行不要 |
| 書類2(受付票B) | 再実行不要 | 再開する | 再開する |
| 書類3の旧版(数量票C・第1版) | 再実行不要 | 再実行不要 | 再実行不要 |
| 書類3の新版(数量票C・第2版) | 再実行不要 | 確認待ち | 確認待ち |
| 書類4(受付票A) | 再実行不要 | 再開する | 再開する |
| 書類5(受付票E) | 再実行不要 | 再実行不要 | 再実行不要 |
| 書類6(受付票F) | 再実行不要 | 確認待ち | 確認待ち |
「再開する」は、架空の記録上で未実行と分かり、再開対象として提案するという意味です。「再実行不要」は、その書類・版・工程の完了記録が対応するという意味です。「確認待ち」は、結果や訂正方法などを確かめるまで実行しない状態です。いずれも本番での実行許可ではありません。
最初の形と、直した指示
初版は、名前と取得済みの状態を1書類1行で残す形にしました。6件とも取得済みと整理できましたが、工程の完了は確定できず、どこから再開するかも表せませんでした。そこで、素材と想定を変えず、出力を書類・版・工程の単位へ広げました。
各書類・版の保存・通知・転記について「再開する/再実行不要/確認待ち」と、根拠にした履歴、確認先を残してください。記録の欠落を未実行とせず、結果不明は再実行しないでください。旧版の処理を新版へ流用せず、訂正方法が未決なら保留してください。実処理は行わないでください。
Pythonの標準ライブラリで、文字履歴にID・版・受付番号を付けた一覧を作りました。次は実行した整形処理の抜粋です。単独では動かず、状態の判定や工程の実行は行いません。
for record in records:
for history in record["history"]:
lines.append(f'{record["id"]}/{record["version"]}/{record["receipt"]}: {history}')
その一覧を読み、作業しているAI自身が初版・修正版を各1回整理しました。別のAIサービスや外部APIを呼ぶ仕組みは作っていません。
3. 結果:再開する工程と、確認先が分かれた
修正版で残した根拠と確認先です。各表は左右にスクロールできます。確認先は架空の担当の役割で、実際の確認は未実施です。
保存:7組とも再実行不要
| 書類 | 整理した結果・根拠 | 確認先・確認する記録 |
|---|---|---|
| 書類1(受付票A) | 再実行不要。保存控えに完了とある | 保管担当が、同じ書類・版・受付番号の保存控えを確認する |
| 書類2(受付票B) | 再実行不要。保存控えに完了とある | 保管担当が、同じ書類・版・受付番号の保存控えを確認する |
| 書類3の旧版(数量票C・第1版) | 再実行不要。旧版の保存控えに完了とある | 保管担当が、旧版の保存控えを確認する |
| 書類3の新版(数量票C・第2版) | 再実行不要。新版の保存控えに完了とある | 保管担当が、新版の保存控えを確認する。旧版の控えで代用しない |
| 書類4(受付票A) | 再実行不要。保存控えに完了とある | 保管担当が、同じ書類・版・受付番号の保存控えを確認する。同名の書類1の控えとは分ける |
| 書類5(受付票E) | 再実行不要。保存は完了し、その後は移動しただけ | 保管担当が、保存控えと同じ書類・版の移動記録を確認する |
| 書類6(受付票F) | 再実行不要。保存控えに完了とある | 保管担当が、同じ書類・版・受付番号の保存控えを確認する |
通知:未着手と結果不明を分けた
| 書類 | 整理した結果・根拠 | 確認先・確認する記録 |
|---|---|---|
| 書類1(受付票A) | 再実行不要。通知履歴に完了とある | 通知担当が、同じ書類・版・受付番号の通知控えを確認する |
| 書類2(受付票B) | 再開する。管理記録に、通知は未着手・実行者なし・手動処理なしとある | 通知担当が、管理記録と直前の通知履歴を見比べる |
| 書類3の旧版(数量票C・第1版) | 再実行不要。旧版の通知履歴に完了とある | 通知担当が、旧版の通知控えを確認する |
| 書類3の新版(数量票C・第2版) | 確認待ち。変更票には数量の訂正とあり、訂正通知の方法は未決 | 通知担当が、変更票と旧版の通知履歴を確認し、訂正通知の内容と扱いを決める |
| 書類4(受付票A) | 再開する。管理記録では通知は未着手。同名の書類1の完了とは別 | 通知担当が、同じ書類・版・受付番号の未着手記録と直前の通知履歴を見比べる |
| 書類5(受付票E) | 再実行不要。通知は完了し、その後は移動しただけ | 通知担当が通知履歴を、保管担当が移動記録の書類・版を確認する |
| 書類6(受付票F) | 確認待ち。通知を始めた記録だけが残り、送れたかどうかが分からない | 通知担当が、通知先の控えと送信結果を確認する。確認できるまで再通知しない |
転記:旧版の完了と、履歴の欠落をそのまま残した
| 書類 | 整理した結果・根拠 | 確認先・確認する記録 |
|---|---|---|
| 書類1(受付票A) | 再実行不要。転記先の控えに完了とある | 台帳担当が、同じ受付番号の転記先で書類・版を確認する |
| 書類2(受付票B) | 再開する。管理記録では転記は未着手 | 台帳担当が、同じ受付番号の転記先に完了記録がないか直前に見比べ、通知完了後に進める |
| 書類3の旧版(数量票C・第1版) | 再実行不要。旧版の転記先の控えに完了とある | 台帳担当が、同じ受付番号の既存台帳で旧版の記録を確認する |
| 書類3の新版(数量票C・第2版) | 確認待ち。変更票の数量訂正を新規受付として重ねない | 台帳担当が、変更票と同じ受付番号の既存台帳を確認し、訂正方法を決める |
| 書類4(受付票A) | 再開する。管理記録では転記は未着手。同名の書類1とは別の受付 | 台帳担当が、同じ受付番号の転記先を直前に見比べ、通知完了後に進める。同名の書類1の受付と混同しない |
| 書類5(受付票E) | 再実行不要。転記は完了し、移動は新規受付ではない | 台帳担当が同じ受付番号の転記先を、保管担当が移動記録を確認する |
| 書類6(受付票F) | 確認待ち。履歴がなくても未実行とは分からない | 台帳担当が、同じ受付番号の転記先と手動処理の有無を確認する。確認できるまで再転記しない |
全21工程の状態と根拠・確認先を、事前の想定に読み合わせ、不一致はありませんでした。内訳は再開する4工程、再実行不要13工程、確認待ち4工程です。同じAIによる照合であり、正答率ではありません。人の評価は未実施です。 想定表を同じAIが参照でき、意図を決めて作った短い架空履歴に限った結果です。
この試作にかかった時間
2026年10月27日、想定表の固定後の日本時間14時28分34秒から、Pythonの整形処理の作成・実行、AIによる初版・修正版の整理、読み合わせとハッシュ確認の保存後の14時29分03秒まで、経過は29秒でした。素材と想定表の準備、事前調査、記事制作、ビルド・表示確認、人の確認を含みません。人の作業時間、業務の削減時間、AI単体の速度を測った値ではありません。
4. うまくいかなかったことと、直したこと
初版は取得済みの6行だけで、書類2(受付票B)の通知・転記が未着手であることや、書類6(受付票F)の結果が不明なことを表せませんでした。名前中心の整理では、同名の書類1と書類4(どちらも受付票A)、書類3(数量票C)の旧版と新版も追いにくくなりました。書類・版・工程、根拠、確認先の列を追加したことで、その違いを残せました。
初版には意図的に「書類単位の取得状態だけ」という制限を付けました。AIが自然に誤った再実行をして、それを防げた実験ではありません。今回試したのは、書類単位の表では抜ける違いを、工程ごとの引き継ぎ表に残すことです。
修正版でも、書類6(受付票F)の欠けた履歴や送信結果は分からないままです。書類3(数量票C)の訂正方法も解決していません。「確認待ち」と書けたことを、業務が復旧した成果にはしていません。実際の再開処理、同時実行、履歴の永続保存、大量書類や長い履歴での判断は試していません。
5. 実際の業務で使う前に確認すること
- 識別情報:ファイルID・版・業務の受付番号を、正式な保存先・通知控え・転記先と対応付けます。同名や移動でも識別子が保たれるかは、使う仕組みで別途確認が必要です。
- 未実行の根拠:履歴が見当たらないだけなら保留します。別担当の手作業や記録の欠落を確認し、誰が未実行を確認したか残します。
- 新版の訂正:旧版を処理済みなら、訂正通知・既存台帳の修正など、今回の変更に合う方法を担当者が決めます。新版の取得を新規受付の許可にしません。
- 再開直前の照合:通常の監視や別担当の処理と重ならないようにし、実行直前に同じID・版・工程の完了記録を照合します。途中で結果不明になったら、その工程を確認待ちへ戻します。
- 人への引き継ぎ:保留理由、確認する記録、引き受ける担当者と回答予定を残します。AIに渡してよい情報と利用環境を確認し、担当者が原記録から判断した結果と比べてから実務での利用を決めます。
6. 相談への案内
「保存までは終わったが、通知したか分からない」「同じ書類を二重に転記しそう」といった困りごとから、工程と記録先を整理できます。書類処理AIのガイドとサービス・料金も参考に、現在の作業の流れをお知らせください。