1. 契約期間と更新履歴を、元の書類からそろえる

最初に、今の契約書・労働条件通知書と、過去の契約書・更新時の通知書をそろえます。入社日だけで通算期間を決めず、契約ごとの開始日・終了日と、契約のない期間の有無を元の書類で確認します。

hirostaの提案は、担当者が書類を照合して確認した値と、まだ確認できていない値を分けることです。人事システムの登録値と書類が違う場合も、その場で片方に合わせず、どの契約・通知書を根拠に直すかを確認します。

  • 今の契約の開始日・終了日、今回の更新予定日
  • 初回の契約から現在までの契約の並びと、更新の回数
  • 担当者が確認した通算期間と、その算定に使った契約履歴
  • 履歴の欠落、契約のない期間、書類と台帳の食い違い

通算期間の数え方や特例の適用など、個別の判断が必要な箇所は社会保険労務士等への確認事項に残します。空欄を「問題なし」と扱わず、資料待ち・照合中・専門家への確認待ちなど、次の行動が分かる状態にします。

2. 前回の通知書と今回の案を照合する

前回渡した通知書を開き、更新の有無、更新する場合の判断基準、更新上限を確認します。今回の通知書案と並べて、変わる箇所と記載が足りない箇所を洗い出しましょう。

厚生労働省の明示ルール変更のパンフレットでは、2024年4月から追加された事項を次のように案内しています。

  • 就業場所・業務の変更の範囲:すべての労働契約の締結時と有期契約の更新時に、雇入れ直後の内容に加えて明示する。
  • 更新上限:有期契約の締結・更新時に、通算契約期間または更新回数の上限の有無と内容を確認する。
  • 無期転換の申込みの機会と転換後の労働条件:申込権が発生する契約の更新のタイミングごとに明示する。

更新上限については、厚生労働省Q&Aの「3.更新上限の明示」問2で、上限を定めている場合は内容の明示が必要で、上限がない場合に「ない」と明示することまでは要しないと説明されています。モデル通知書は、有無を明確にする様式です。hirostaの確認表では有無を記録しますが、通知書の空欄だけを見て「上限なし」と決めません。

最初の契約締結より後に上限を新たに設けたり、上限を短くしたりする場合は、変更前にその理由を本人へ説明する必要があります。前回の通知書と違う上限が案に入っていたら、変更の経緯と事前説明の予定・記録を担当者が確認します。

Q&Aの同じ章の問1は、当初から数えた更新回数・通算期間の上限と、現在の更新回数を併せて示す方法も紹介しています。確認表でも「現在の回数」と「明示した上限」を別の欄にして、残り回数との混同を避けます。

ここで挙げたのは更新前に特に照合したい項目です。通知書全体の明示事項を網羅する一覧ではないため、賃金・労働時間等を含む様式全体の確認も担当者が行います。

3. 無期転換の申込みの機会と、雇止め予告を別々に確かめる

無期転換は、今回の契約だけで判断しない

厚生労働省の無期転換サイトは、同一の使用者との有期契約が更新されて通算5年を超えるときに、労働者の申込みで無期労働契約に転換する制度を案内しています。

担当者は契約履歴をそろえ、今回の更新で申込みの機会が生じるかを確認し、確認者・確認日・根拠を残します。履歴が欠けている場合や特例などの判断が必要な場合は、確認待ちにして専門家へ渡します。

申込権が発生する更新のタイミングごとに、申込みの機会と無期転換後の労働条件を明示する必要があります。「以前に案内したから今回は不要」と扱わず、今回の通知書案を照合してください。Q&Aの「4.無期転換申込み機会の明示」問1では、申込権を行使しない意向の人にも明示が必要とされています。

更新しない可能性があるなら、予告の対象と時期を先に確認する

厚生労働省の雇止め等の基準の案内では、予告の対象として、3回以上更新している場合、1年以下の契約を更新して継続通算1年を超える場合、1年を超える期間の契約を結んでいる場合が示されています。対象の契約を更新しない場合は、契約満了日の少なくとも30日前までの予告が必要です。あらかじめその契約を更新しない旨が明示されている場合は除かれます。

これは制度上の一般的な条件です。個人の予告の要否と期限日は、担当者が契約履歴・明示内容を基に専門家等へ確認します。満了直前の面談まで先送りせず、確認表に確認先と社内の回答予定日を置きましょう。

予告の手続と、雇止めが認められるかは別の確認です。「30日前に知らせれば雇止めできる」「上限を書けば更新しなくてよい」とは判断しません。更新しない方針の検討は、担当者・社会保険労務士・弁護士に確認する事項として残します。

4. hirostaの提案:1人1行で説明・受領・訂正まで追う

次は、hirostaが提案する確認表の項目です。横長の表をそのまま配るのではなく、担当者が使う表や人事システムに、次の欄を用意します。

  1. 対象と予定:管理用ID、確認担当、現在の契約の開始日・終了日、今回の更新予定日、社内の確認予定日。
  2. 履歴:更新回数、担当者が確認した通算期間、参照した契約書の保管先、欠けた資料、履歴を照合した日。
  3. 明示内容:前回の更新の有無・判断基準、明示した更新上限、今回の案の変更点、変更の範囲の記載、上限変更の理由の説明予定日・実施日。
  4. 無期転換・予告:申込みの機会の有無と確認状況、転換後の条件の明示の確認、雇止め予告の要否・期限日の確認状況、確認者・根拠・専門家への質問と回答予定日。
  5. 交付後の記録:通知書の版・交付日、本人への説明日、受領確認日・確認方法、面談実施日、残った質問、訂正箇所・再交付日、最終確認者。

進める順は、資料を集める → 履歴と前回の明示を照合する → 専門家への質問を解消する → 今回の通知書を確認・交付する → 説明と受領・訂正を記録する、です。更新予定日から逆算し、書類確認と面談の日程を分けて確保します。社内の予定日は法定の期限日の代わりにしません。

通知書を交付した日と、説明した日、本人が受け取ったことを確かめた日は分けます。受領の記録だけで契約内容への合意や手続の適法性まで確認済みにせず、質問が残れば担当と次の対応日を記録します。

確認表には氏名・評価・面談内容などの個人情報をそのまま入れず、管理用IDと対応状況に絞ります。IDでも本人を特定できる場合があるため、閲覧者を必要な担当者に限定し、原本や詳しい面談記録はアクセスを制限した場所で別に管理してください。

想定シナリオ:3月末の更新に向け、履歴不足を先に見つける

架空の会社「青葉商店」で、架空の契約社員Aの更新を準備する、未実施の想定シナリオです。3月末に今の契約が満了する予定ですが、年明けの資料確認で、過去の更新時の通知書が一部見つからないとします。

担当者は、確認表の履歴欄を「資料待ち」、無期転換の申込みの機会を「確認待ち」とし、元の書類を探す担当と社内の回答予定日を記録します。更新しない可能性がある場合の予告も、要否と期限日の確認を先に依頼します。資料がないままAIに回数や日付を埋めさせません。

資料の照合と専門家への確認を経て、今回の通知書案を見直し、本人への説明・交付・受領確認を別々に記録します。記載の訂正が必要なら、前の版と訂正版を区別して再交付を追います。この例は進め方を示すもので、Aの更新・雇止め・無期転換の可否を結論づけるものではありません。

5. AIは、確認表の下書きと記載漏れ探しを補助する

AIには、個人情報を含まない項目名から確認表の下書きを作る、空の通知書様式を確認項目と照合して記載漏れの候補を挙げる、といった補助を任せます。更新予定日の一覧づくりでも、担当者が確認済みの日付を使い、元の資料と照合します。

更新するかどうか、雇止めの適否、無期転換の権利が生じるかどうか、通算期間、予告の期限日をAIに確定させません。 記載漏れが見つからないというAIの回答も、通知書の法的な確認の代わりにはしません。

従業員の氏名・評価・面談内容や実際の契約書を、そのままAIへ入力しないでください。IDに置き換えただけでも、日付や所属から本人が分かることがあります。AIの下書きには項目名や架空の内容だけを使い、実データとの照合はアクセスを制限した社内の環境で担当者が行います。

6. 入社・退職・勤怠の手続きは、関連する確認表へ渡す

この記事は、有期雇用の契約更新前の資料確認と明示・説明の記録を扱います。次の業務は目的が違うため、必要になった段階で既存の手順へ渡してください。

書類を集めた後に何を確かめ、誰へ判断を依頼し、本人への説明と訂正をどこまで済ませたかを追える状態にしましょう。