1. 公開されている支援用途と、この記事の提案を分ける

中小機構の生成AI活用ツール集には、海外向け提案文作成(BtoB)が公開されています。初回提案メールと1ページ相当の説明シートを日本語訳付きで作り、自社の条件が反映されているか、過剰な約束がないかを確認する構成です。ツール集は、原典や専門家による確認と、AIの出力が変わり得ることも案内しています。

以下は、この公開例を参考にした中小企業向けのhirostaの手順の提案です。出典のプロンプトは転載せず、下書きの材料と照合に絞ります。公的機関の公開例があることを、完成文の正しさや営業の効果の根拠にはしません。

2. 課題の仮説・提供価値・対応条件を同じ表にそろえる

「相手に合う提案を書いて」だけでは、相手の困りごとや自社の対応範囲までAIが補うおそれがあります。まず、公開情報で確認できたこと、そこから考えた仮説、自社が提供できることを分けて書きます。

表の各行には、確認元・版・確認日・社内の確認担当を添えます。公開情報の出典と対象時期の残し方は市場調査の記事へ、商品の事実表を作る詳しい方法は商品紹介文の現地語化の記事へ進んでください。AIへ渡すのは社内で入力が認められた範囲だけにします。相手は「商社A」などの記号で整理し、非公開の営業資料はそのまま渡さないでください。

想定シナリオ:架空の包装用品を提案する

架空の会社「こもれび資材」が、架空の商品「折りたたみ仕切り材」を、架空の「ルーネ国」の企業「商社A」に英語で紹介すると仮定します。国と言語の設定も説明用で、実在市場の事情を表していません。以下はAIで実行していない想定シナリオです。

準備する項目 想定例でそろえる内容
相手について確認できたこと 公開の商品案内に、包装用品の取り扱いがある設定。確認元と確認日を記録する
相手の課題の仮説 収納しやすい資材に関心があるかもしれない。相手の課題としては未確認
自社の提供価値 折りたためる仕切り材を紹介できる。保管場所の削減量や相手への適合は断定しない
数量 注文数量に応じて対応可否を確認する。最低数量や供給量は未確定で、供給担当へ戻す
納期 数量と仕様を確認してから回答する。即納や到着日の保証はしない
価格の条件 対象仕様・数量・送料等の扱いを価格担当が確認するまで金額を入れない
対応できない事項 専用品の設計変更には対応しない設定。説明資料にも残す
目的・言語・体裁 商品の概要を紹介する下書き。英語の短いメールと説明資料1枚、日本語訳、社内用の要確認一覧

数量・納期・価格が決まっていない場合は、空欄をAIに埋めさせません。「要確認」と、その確認担当を表に残します。未確定の条件を、希望条件や一般的な相場で置き換えないことが要点です。

3. メールと説明資料1枚は、同じ版の表から作る

メールには提案の趣旨と提供価値の要点、説明資料には商品の概要と対応条件を載せます。役割は違っても、条件の参照元は同じ表です。メールを先に作って説明資料を別の材料で追加すると、納期や対応範囲がずれるおそれがあります。

AIへの依頼例

次はhirostaが作成した依頼例です。実在の企業名・担当者名は入れず、上の架空の設定を使います。

この準備表の同じ版だけを使い、初回提案メールと説明資料1枚分の文面を英語で下書きしてください。メールは提案の趣旨と提供価値を短く、説明資料は商品概要・対応条件・対応できない事項が分かる構成にしてください。相手の課題の仮説を事実と断定せず、未確定の数量・納期・価格を補わないでください。それぞれに日本語訳を付け、表のどの行を使ったか分かるようにしてください。不足情報と要確認事項は社内用の一覧に分けてください。送信は行いません。

出力には、準備表の版、メール案と日本語訳、説明資料案と日本語訳、社内用の要確認一覧をひと組で残します。1枚に収める際は見出し・商品概要・条件の順で情報を絞り、条件を消したり文字を小さくしすぎたりしないようにします。実際に使う文書の用紙・文字サイズで、1枚に収まるかも人が確認します。

未確定事項を社内一覧に分けても、本文で確約してよいわけではありません。「数量と仕様の確認後に納期を回答する」といった留保は両方の文書に必要です。判断に必要な条件を説明資料にだけ隠さないようにします。

4. 二つの文書と日本語訳を、表と1行ずつ照合する

人は準備表の各行を起点に、メール・説明資料・それぞれの日本語訳の該当箇所を読みます。表から文書への照合に加え、文書にしかない主張がないかも逆向きに確認します。AIに自己点検を頼んでも、人の照合は省きません。

表の行 下書きにあれば戻す表現の例 直す方向
相手の課題の仮説 「御社は保管場所の不足に悩んでいます」 未確認の課題を断定せず、用途の提案として書く
数量・納期 メールは「数量確認後に回答」、資料は「いつでも即納」 表の留保にそろえ、即納の約束を取り除く
価格の条件 日本語訳だけに「送料込み」の記載がある 表にない条件を除き、価格担当の要確認へ戻す
対応できない事項 説明資料に「専用品の設計変更も可能」とある 対応不可の条件を両方の文書へ反映する

この例も想定シナリオであり、実際に起きた誤出力ではありません。修正は準備表の確定内容に戻し、メールか説明資料の片方だけを直して終えないでください。条件が変わる場合は、担当者が表を更新してから二つの文書と訳を照合し直します。

日本語訳もAIが作るなら、訳の誤りや抜けがあり得ます。訳だけで正しさを確定せず、現地語を確認できる人が原文側の条件と自然さを確認します。訳し戻しを並べる詳しい方法は商品紹介文の記事を参照してください。

5. 要確認事項は担当者へ戻し、下書きとして引き継ぐ

確認担当には、該当する表の行、二つの文書の箇所、疑問点、確定に必要な情報を渡します。例えば数量・納期は供給担当、価格の条件は価格担当、現地語の自然さはその言語を確認できる人に分担します。現地の法令・商慣習・関税・為替・契約条件に関わる判断は、現地の専門家・販売先に確かめる事項として残し、AIの文面で確定しません。

完了の目安は、同じ版の表に基づくメールと説明資料があり、日本語訳との条件の一致を人が確認し、残る要確認事項と担当者が分かる状態です。未確定の重要な条件や現地語の確認が残るなら「確認待ちの下書き」として引き継ぎます。送信できる状態の認定や実際の送信は、この記事の範囲に含めません。

受け付けた質問への回答は問い合わせ対応の記事、見積り・受注・納品の取引帳票は帳票の下書きと照合の記事で扱います。今回は、その前段にある初回提案の二つの文書の整合に絞っています。