1. 期間が同じだけでは、来訪率にできない

「引用されたうち、どれだけが訪問につながったか」を知るには、分母の引用に、分子の訪問が対応している必要があります。同じ月の数字でも、別のAIからの訪問が混ざっていたり、対応する引用が分からなかったりすると、その割合は求められません。

ここでいう「数え方をそろえる」は、引用と訪問を同じ指標にすることではありません。何を1件と数え、どの引用に対応する訪問を含めるかを決めることです。クリック数とセッション数、セッション数と訪問した人数も、そのまま置き換えられません。

引用・訪問・相談を分ける基本的な考え方は自社HPの実践記録、機能の対象と限界はAI検索の動向記事へ渡し、この記事では割り算の条件に絞ります。

2. 4つの条件を確認表で確かめる

次の表は、月次レポートを読む際の判断基準としての提案です。各行を「そろっている/そろっていない/不明」で記録します。1行がそろっただけで、全体を来訪率として扱わないでください。

確認すること そろっているとき そろっていないとき 不明なとき
期間 開始日・終了日と日付の区切りが同じ。期間の条件は満たす 別期間の集計は来訪率に使わず、同じ期間へそろえる 日付や集計の区切りを確かめるまで割合にしない
対象サービス(どのAI) 引用と訪問が同じAI・同じ集計範囲。対象の条件は満たす 1つのAIの引用に、複数AIの訪問を対応させない サービスの内訳を確認し、全AIの値と決めつけない
数える指標(引用・表示・クリック・セッション) 何を1件とするか、重複や再訪をどう扱うかが決まっている。計算結果の意味を説明できる 表示と引用、クリックとセッションなどを置き換えず、定義を整理する 指標名と定義を確認するまで「来訪率」と呼ばない
個別の対応(どの引用から来た訪問か) 分母に含めた引用と、そこからの訪問を対応付けられる。残る3条件も満たせば割合を検討できる 別の引用からの訪問が混ざるなら除外して整理する 引用数と訪問数を別々に並べ、来訪率は求めない

条件がそろった場合も、何の割合かを決める

「訪問につながった引用の割合」を求めるなら、分母は対象の引用、分子はそのうち訪問が確認できた引用です。1つの引用から複数回訪問されても、分子では同じ引用を重複して数えません。分母がゼロの期間では割合を求められません。

一方、対応するセッションの総数を引用数で割る値は「引用1回あたりのセッション数」です。再訪などを含める条件によっては1を超えるため、訪問につながった引用の割合とは別です。個別の対応が分かることと、単純にセッション数を割れば来訪率になることは同じではありません。

3. 他社の公開レポートに当てはめる

バンブーハウスの2026年9月版レポートは、同社の自社サイトについての自己報告です。対象期間は2026年9月1〜30日、公開日は10月1日と表記されています。AI経由のセッションは8月31件から9月41件へ増えた一方、Google検索のクリックは減ったと記載されています。良い数字と悪い数字を併記した公開例として、比較条件を読んでみましょう。

同レポートでは、引用2.1K回はMicrosoft Copilotの値として記載され、41セッションは複数AIの参照元の合計です。これらを確認表へ当てはめると、次のようになります。

条件 公開内容で分かること 判断
期間 9月1〜30日が対象と明記され、指標間の期間のずれは記載されていない 表記上はそろっている。集計の時刻・日付の区切りは不明
対象サービス Copilotの引用と、複数AIのセッション合計 そろっていない
数える指標 Bing側の引用回数と、GA4のセッション数 異なる指標。引用ごとの重複・訪問の数え方の対応は不明
個別の対応 どの引用からどの訪問が来たかは公開されていない 不明

このため、2つの数字を割って「引用からの来訪率」とは扱えません。Copilotのセッションだけに絞っても、個別の引用と訪問の対応が不明という限界は残ります。「期間が違うから割れない」という例ではありません。

ここでは公開された値の読み方だけを扱います。同社の原データや改訂履歴は未確認で、同社の施策の因果効果や、AI検索全体の傾向、hirostaの実績を示すものではありません。

4. 自社で確かめるなら、この順に整理する

以下は自社のHP担当者・分析担当者への提案です。hirostaがこの比較を実施した記録ではありません。

  1. 知りたい割合を言葉で決める。 「訪問につながった引用の割合」なのか、「引用1回あたりのセッション数」なのかを決めます。対応が取れなければ、割合の算出は保留します。
  2. GA4の訪問を参照元別に分ける。 トラフィック獲得レポートの「セッションの参照元」で、実際に記録されたAIの参照元へ絞り、セッション数を見ます。「ユーザーの最初の参照元」と混同せず、複数AIの合計とサービス別の値を分けて残します。参照元が不明な訪問を、推測でAIの分へ足しません。
  3. Bing側の指標名と対象を確認する。 公式説明のTotal Citationsは、選んだ期間にAI回答の出典として表示された引用の総数です。対象はMicrosoft Copilot、BingのAI生成要約、一部の連携先で、全AIサービスの引用ではありません。自社の集計がどこまで含むかを確認し、Copilotだけの値と決めつけません。
  4. 期間とサイトの範囲をそろえる。 同じ開始日・終了日、日付の区切り、サイト全体か特定URLかを確認します。BingのCompareは過去の期間を現在の表示に重ねる機能ですが、期間比較ができても、訪問との対応が分かるわけではありません。
  5. 引用と訪問の対応を確認表に記録する。 どの引用から来た訪問かが追えない場合は「不明」と書きます。同じURLへの訪問が同じ日にあっただけでは、個別の対応が取れたとはしません。割り算は保留し、同じ条件で引用と参照元別のセッションの推移を並べます。

BingのCitation Shareは、同じ根拠検索語で全サイトに付いた引用のうち、自サイトの引用が占める割合です。訪問の割合ではなく、今回求めたい来訪率の代わりにはなりません。

GA4のセッションはサイトでの一連の操作を数える単位です。クリックや人数と同じではないため、指標名を省いて「訪問が何件」とだけ記録せず、「参照元別のセッション数」と残すと比較条件を確認しやすくなります。

5. 対応が不明なら、別々の推移として使う

公開レポートや公式の指標説明だけでは、個別の引用と訪問の対応を確定できません。引用数が増えて訪問数も増えたとしても、それだけでHPの改修が原因とは言えず、引用数が減ったことだけで施策の失敗とも言えません。

確認表に不明な条件が残るなら、その条件とともに引用数・参照元別のセッション数を並べるところまでに留めます。HPを整える順序はGEO/AEOの基本、外部ツールの評価とGoogleでの成果の照合はGEOツールの点数の記事をご覧ください。