1. 試したこと:承認済みでも、給与への反映は別に確認する

同じ架空資料を、(a) 承認状態だけを見る整理と、(b) 変更の開始日・適用月・対象期間・支給単位・明細・処理履歴まで残す整理で各1回まとめました。確認したいのは、一覧に何を残すと見落としを説明できるかです。別のAI同士の性能比較ではありません。

通勤手当の変更を照合する既存記事は、一般手順と想定シナリオを示しています。今回は短い文字資料を実際に読み合わせた記録で、既存記事の本文は変更していません。

年休の取得区分・管理期間を扱う年休の検証ラボとは対象が異なります。ここでは承認した通勤条件がどの給与月・期間に記載されたかを追います。

2. 作り方の要点:規程・申請・明細・履歴を番号でつなぐ

架空の規程の抜粋

主体は「架空通勤ラボ社」。以下の規程は試作のための設定で、実際の規程のひな形や、法令の説明ではありません。資料内の会社・社員・駅・路線・運賃・日付・期間・金額はすべて架空で、動くリンクや実在の宛先は含めていません。

条項 規程の原文
K1・通常の候補月 変更開始が月初で、当月15日までに申請・承認と資料がそろえば、その月を適用給与月の候補にする。給与担当が原記録を確かめて決定する。
K2・締め日後と不足 15日後の申請・承認、資料不足は翌月へ自動で送らず、適用月決定票を給与責任者へ確認する。開始日・申請日・承認日は別欄。例外の精算方法はこの抜粋に定めない。
K3・支給単位 複数月分は対象期間と支給単位をそろえて照合する。記載額÷月数は比較用の月当たり参考値で、支給額を算定する式ではない。単位不明は換算しない。
K4・処理履歴 差額は履歴IDと反映先明細を照合し、処理済みの記録を新たな差として加算しない。支給・返還・遡及は人の判断。税務・社会保険の規程ではない。

変更申請6件

日付はすべて2026年、金額は架空の円です。「箱」は資料の保管先を示す記号で、実在の保存先ではありません。承認済みの記載も架空設定であり、人が承認の事実を確認した結果ではありません。横長の表は横にスクロールして読めます。

申請・社員 変更開始 申請日 承認日・承認者 承認状態 根拠資料・確認日・保管先
A・員甲 10-01 09-25 09-28・承甲 承認済 根A・09-28・箱A
B・員乙 10-01 10-02 10-05・承甲 承認済 根B・10-05・箱B
C・員丙 10-01 10-18 10-20・承乙 承認済 根C・10-20・箱C。適用月決定票なし
D・員丁 10-01 09-24 09-29・承乙 承認済 根D・09-29・箱D。新条件の期間10-01〜12-31
E・員戊 09-01 08-25 08-28・承甲 承認済 根E・08-28・箱E
F・員己 10-01 10-04 空欄・承乙 承認済の表示のみ 新条件の根拠・確認日・保管先・対象期間なし
申請 旧経路の記号 新経路の記号 旧条件の額・単位 新条件の額・単位
A 駅甲―駅乙/線甲 駅甲―駅丙/線乙 8,000・1か月 9,000・1か月
B 駅丁―駅戊/線丙 駅丁―駅己/線丁 7,000・1か月 8,500・1か月
C 駅庚―駅辛/線戊 駅庚―駅壬/線己 6,000・1か月 7,000・1か月
D 駅癸―駅子/線庚 駅癸―駅丑/線辛 10,000・1か月 30,000・3か月
E 駅寅―駅卯/線壬 駅寅―駅辰/線癸 8,000・1か月 9,000・1か月
F 駅巳―駅午/線子 駅巳―駅未/線丑 36,000・6か月 42,000・6か月

給与明細に相当する文字表と処理履歴

実際の給与明細ではありません。Eの通常分と過去月対象の別記は、同じ明細でも分けて対応させます。

明細・申請 給与月 対象期間 通勤手当の記載額 支給単位・内訳
明A・A 10月 10-01〜10-31 9,000 1か月
明B・B 10月 10-01〜10-31 7,000 1か月
明C・C 10月 10-01〜10-31 6,000 1か月
明D・D 10月 10-01〜12-31 30,000 3か月
明E旧・E 9月 09-01〜09-30 8,000 1か月
明E追・E 10月 通常10-01〜10-31、別記09-01〜09-30 10,000 通常9,000・1か月、別記1,000は履E1
明F・F 10月 空欄 7,000 空欄
履歴 記載の原文要約
履E1 申請E、9月対象の差額1,000、10-10処理済、担当給甲、反映先は明E追の別記1,000。取消記録なし。承認した適用月は9月、実際の差額反映月は10月という設定。
A・B・C・D・Fの履歴欄 今回提供した履歴表に差額処理の記載なし。処理が存在しないことの証明ではない。

候補より先に固定した想定の結果表

試作者である同じAIが、次の想定を候補作成前に保存し、時刻とSHA-256を記録しました。候補作成後もハッシュが同じことを確認しました。人が作った正解表ではありません。「一致」も文字資料上の想定で、全件の処理状態は人の確認待ちです。

申請 適用する給与月の候補 承認内容の記載 想定の区分・差の理由候補 不足資料・次の確認先
A 10月・K1 9,000/1か月 一致候補。明Aの月・期間・額・単位が一致 記載上の追加不足なし。原本・適用決定は未確認。給与担当
B 10月・K1 8,500/1か月 不一致・未反映候補。明Bは旧7,000のまま 反映指示・処理履歴の完全版。給与担当
C 未決定・K2 7,000/1か月 確認待ち。締め日後。旧額でも未反映と断定しない 適用月決定票。給与責任者
D 10月・K1 30,000/3か月、10-01〜12-31 一致候補。明Dの期間・単位も一致。旧1か月分と額面比較しない 記載上の追加不足なし。原本・適用決定は未確認。給与担当
E 9月・K1 9,000/1か月 履歴付きの一致候補。9月は旧額だが、差額は10月明E追に記載。二重に加えない 履歴・明細原本、取消有無の再確認。給与担当・給甲
F 未決定・K2 42,000/6か月の記載、承認日なし 確認待ち。承認表示の裏付け不足。明Fの単位・期間不明 承認履歴・根拠・確認日・保管先・明細の単位と期間。本人・承乙・給与担当

最初の形と、AI・人の分担

指示の要点は次のとおりです。同じ資料を知る作業中のAI自身が整理し、別のAIサービスには送っていません。

(a) 承認状態だけを一覧に残す。給与反映済みとは扱わない。
(b) 規程・開始日・申請日・承認日・適用月候補・対象期間・支給単位・
    明細・履歴を対応させ、食い違いの候補と根拠箇所を残す。
不足資料・次の確認先・本人への確認依頼案を申請ごとに出す。
単位や期間不明の換算、申請日だけによる適用月決定をしない。
処理済みの履歴を新たな差として足さない。
支給額・非課税額・遡及処理・精算方法・社会保険の扱いは確定しない。
全件を人の確認待ちにする。本人へ支給・返還を約束しない。送信しない。

機械的な部分は、表計算の考え方で日付の前後と単位を読み合わせました。Cの申請・承認は15日より後。Dは3か月分30,000÷3=10,000を月当たりの比較参考値とし、旧1か月分10,000との額面差を過払いとは扱いません。新条件の額と明細の額は、同じ3か月・同じ期間で比較しました。

Fの明細7,000には単位・期間がなく、新条件と比較できません。6か月分の月割り額と同じに見えても、明細を月払いと推測して一致にはしません。コードや表計算ファイルの実行はしておらず、短い文字表の読み合わせです。実務の自動計算を検証した結果ではありません。

3. 試した結果:見落としの理由を分け、足りない資料は残す

(a) 承認状態だけの整理

全件を「承認済表示/給与反映未照合/人の確認待ち」と出しました。想定との比較は次のとおりです。承認を給与反映済みと読み替えた出力はありませんが、申請固有の理由までは残せませんでした。

申請・照合項目 原文 AIの候補・根拠 想定との一致/不一致・理由 不足資料・確認先
A・反映 承認済 承認表示あり、反映未照合 想定の明Aとの一致は未特定 反映根拠。給与担当
B・旧条件 承認済 同上 想定の旧額未反映候補は未特定 反映根拠。給与担当
C・適用月 承認済 同上 想定の締め日後・月未決定は未特定 反映根拠。給与担当
D・支給単位 承認済 同上 想定の3か月・期間一致は未特定 反映根拠。給与担当
E・処理履歴 承認済 同上 想定の9月適用・10月差額反映は未特定 反映根拠。給与担当
F・承認根拠 承認済の表示のみ 承認表示あり、反映未照合 想定の承認日欠落・明細単位不明の理由は未特定 反映根拠。給与担当

この試作・この条件では、6件とも固有の区分と根拠を特定するには情報不足でした。金額を比較しない(a)で、推測換算や二重加算を防げたと評価することもできません。

(b) 適用月・期間・単位・明細・履歴を残した整理

「想定と一致」は候補と理由の自己照合であり、給与処理の正しさを人が確認した意味ではありません。全6件が人の確認待ちです。

申請・項目 原文・参照 AIの候補と根拠 想定/一致・不一致と理由 不足資料・次の確認先
A・月と反映 根A、明A「10月・9,000・1か月」 K1、10月候補。10-01〜10-31の額・単位が一致候補 一致候補/一致。承認と明細を別に照合 記載上の追加不足なし。原本・適用決定。給与担当
B・旧条件 根B「8,500・1か月」、明B「7,000」 K1、10月候補。旧額のままで不一致・未反映候補 不一致候補/一致。承認済だけで完了にしない 反映指示・完全な処理履歴。給与担当
C・締め日 10-18申請、10-20承認、明C「6,000」 K2、15日後で月未決定。旧額だが未反映の断定は保留 確認待ち/一致。10月・11月を自動選択しない 適用月決定票。給与責任者
D・期間と単位 根D・明D「30,000・3か月、10-01〜12-31」 K1・K3、10月候補。記載が一致。月当たり参考値10,000 一致候補/一致。旧月額との額面比較で差を出さない 記載上の追加不足なし。原本・適用決定。給与担当
E・適用月と反映月 明E旧「8,000」、履E1「処理済」、明E追「別記1,000」 K1・K4、9月適用候補。9月対象分は10月に記載。通常9,000と別記を分離し履歴付き一致候補 履歴付き一致候補/一致。処理済み1,000を新たに加算しない 原明細・履歴・取消有無。給与担当・給甲
F・不足資料 承認日空欄、新条件「42,000・6か月」、明F「7,000・単位空欄」 K2・K3、月未特定。承認の裏付け、明細の単位・期間がなく比較保留 確認待ち/一致。7,000を月額と推測しない 承認履歴・根拠と確認日・保管先・期間・単位。本人・承乙・給与担当

この短い文字資料の条件では、(b)の6件の候補区分と理由は想定と一致しました。同じAIが想定を知った状態での読み合わせで、一般的な正答率ではありません。Cの適用月決定票、Fの承認・根拠・単位・期間は、詳細に整理しても不足したままです。

Bの処理履歴の完全性、Eの取消の有無、A・Dの原本や適用決定も人の確認が必要です。「資料に記載なし」を「処理なし」と断定していません。今回の(b)には、Fの推測換算、Eの処理済み差額の二重加算、支給額や非課税額・精算方法を確定する文はありませんでした。

本人への確認依頼案

文案は作成しただけで送信していません。給与担当への確認事項を本人に決めさせず、本人には利用開始や根拠資料の事実確認を依頼しました。

申請 AIが作った文案
A 申請Aについて、変更開始日10月1日と根Aの対象経路・期間が申請内容と合っているかご確認ください。給与への適用は担当者が原記録を確認します。
B 申請Bについて、10月1日から新経路を利用したかと根Bの内容をご確認ください。承認内容と10月明細の記載に違いがあるため、担当者が処理履歴を確認中です。
C 申請Cについて、変更開始日10月1日と申請日10月18日に相違がないかご確認ください。適用する給与月は給与責任者が規程と決定票を確認します。
D 申請Dについて、根Dの定期の対象期間が10月1日〜12月31日で、3か月分の記載かをご確認ください。給与への適用は担当者が確認します。
E 申請Eの変更開始日と根Eの内容をご確認ください。9月対象分は処理履歴と10月明細に記載があるため、担当者が対応関係を確認します。
F 申請Fについて、新経路・定期代の根拠と対象期間をご提示ください。承認履歴と明細の支給単位は社内担当者へ確認します。

6件の文案を読み合わせ、支給・返還を約束する文はありませんでした。「担当者が確認中」などの文面は、実務では実際の確認状況と合わせてから使います。

かかった時間と測った範囲

2026年10月22日、想定表の固定(UTC 01:35:54)から、2通りの候補・全件の読み合わせ・文案の保存(01:36:42)までの経過は48秒でした。この試作で同じAIが作業した範囲の経過時間で、素材・想定の準備、記事編集、ビルド・表示確認は含みません。全作業の所要時間、人の確認時間、実務の削減時間は測っていません。

4. うまくいかなかったことと、直したこと

最初の(a)では、確認待ちの理由がすべて「給与反映未照合」になりました。(b)で適用月・期間・単位・明細・履歴の列を加え、Bなら反映指示、Cなら適用月決定票、Fなら承認履歴と単位・期間、と確認する資料と相手を分けました。

今回、AIが承認を給与反映済みと誤読した出力や、推測換算・二重加算をした出力はありませんでした。候補の再試行、分類の訂正、想定表の修正もありません。Bの旧額支給やFの空欄は意図して作った素材であり、AIが生じさせた誤りではありません。

課題は、列を増やしても不足資料が埋まらないことです。短い資料に明確な申請番号と履歴の反映先を持たせた条件で、実際の給与ソフトとの連携、複数回の経路変更、重複履歴、取消・再処理、月途中の変更、画像・OCRは試していません。表がそろったことを本番利用の準備完了とは扱えません。

5. 実際の業務で使う前に確認すること

給与担当者は、適用する規程と締め日の扱い、変更開始の事実、承認履歴、経路・定期の根拠と確認日・保管先、明細の給与月・対象期間・支給単位、精算の履歴と反映先を原記録で確認します。確認待ちには、確認する人・不足資料・回答予定日を残し、判断後に判断者・判断日・根拠を追記します。

会社が支給する額と、税務上の非課税額は別の確認です。 この試作は非課税額・課税の扱いを計算・判断していません。社会保険の扱いも判断・計算の対象外です。適用する給与月や差額の精算・遡及は、給与担当者・社内責任者が規程と専門家への確認を踏まえて決め、必要に応じて税理士・社会保険労務士などへ確かめます。処理後の明細と履歴の対応も確認して、二重処理を防ぎます。

同じAIの自己照合では、人による評価を代替できません。実務に使う前には担当者がAIの候補を見ずに整理した結果との比較が必要です。実際の従業員の住所・経路・給与はAIへ入力しないでください。今回の架空データだけで、特定のAIサービスや給与ソフトへの対応を保証することもできません。

6. 相談への案内

「承認後の引き継ぎが分からない」「過去月の差額をまた拾ってしまう」「資料不足が一覧から消える」といった困りごとから、残す項目と確認の工程を考えられます。勤怠・給与・期限管理の支援とサービス・料金もご覧ください。担当者と専門家に判断を残したうえで、無料相談で今の資料の流れを一緒に整理できます。