1. 公開前に、旧URLと新URLの対応表を作る

まず社内の担当者が、制作会社と一緒に旧サイトのページ一覧を集めます。CMSの一覧やサイトマップを出発点にし、案内メール・外部サイト・印刷物で使っているURLも照合しましょう。ページだけでなく、直接案内しているPDFや画像のURLが変わる場合も対象です。

制作会社を変える場合は、旧サイトの管理を終了する前に一覧を受け取り、誰が旧URLへのアクセスを受け付けて転送を維持するかを確認します。ドメインやサーバーの契約を先に終了すると、予定した転送を続けられない場合があります。

以下はhirostaが提案する対応表の列です。1行を1つの旧URLとし、対応先が決まっていない行を空欄のまま完了扱いにしません。

列 記入する内容
旧URL ドメインを含む変更前の完全なURL
新URL 対応する新ページの完全なURL。削除する場合は「なし」と理由
転送の種類 恒久的な301など。転送しない場合は404・410などの扱い
担当 転送先を決める社内担当と、設定する制作会社・サーバー会社
確認日 公開前・公開直後・再確認の予定日と、実際に確認した日時
確認した人 実際にページや設定を確かめた人
問題と対応 実際の移動先、表示・応答の結果、修正依頼先と期限

公開前に社内担当が内容の対応を確認し、制作会社が設定方法と作業範囲を確認します。「新サイト一式」の見積りに旧URLの転送まで含まれるかは、別途明記してください。機能や運用の発注範囲全体はHP制作の発注範囲を決める手順、原稿・写真の準備はHP制作で写真と文章を準備する手順で整理できます。

2. 旧URLごとに、転送先か削除かを決める

Googleのサイト移転の案内は、旧URLと新URLを対応付け、可能ならサーバー側の恒久的なリダイレクトで移転を伝えることを勧めています。リダイレクトは、旧URLを開いた人を別のURLへ自動で案内する仕組みです。恒久的な移転には301・308などを使い、一時的な転送と区別します。

転送先は、ページ名が似ているかだけで選ばず、旧ページを読みに来た人の目的を引き継げるかで社内担当が決めます。

  • 内容を引き継ぐページがある: 対応する新ページへ直接転送します。途中の古いURLを何段も経由する設定は避けます。
  • 複数ページを統合する: 旧ページで案内していた内容を含む統合先へ対応付けます。複数の旧URLが同じ新URLになることもあります。
  • 代わりになる内容を残さない: 関係の薄いページへ無理に転送せず、404(見つからない)・410(削除済み)などの応答を返す扱いを制作会社と決めます。

なくなるページをすべてトップページへ転送する方法は避けます。 Googleは、関連性の低い一括転送が利用者を混乱させ、実質的に存在しないページを示す「soft 404」と扱われる場合があると説明しています。「近い内容」であっても、求められた情報がなければ適切な案内先とは限りません。

想定シナリオ:製品紹介をまとめる設備部品会社

架空の設備部品会社が、CMSの変更に合わせて製品ページを整理する未実施の想定シナリオです。以下は同じドメイン内のパス部分だけで示しています。実際の対応表には完全なURLを記入します。

旧ページ 引き継ぎ先と依頼内容
/product-a.html 同じ製品の新ページ /products/a/へ恒久的に転送
/parts-b.html Bの仕様も掲載する統合先 /products/parts/へ、内容の引き継ぎを確認して転送
/campaign-old.html 終了済みで代替ページなし。転送せず、削除を示す応答と案内表示を確認

営業担当が製品情報の対応を決め、総務担当が表を管理し、制作会社が転送を設定する想定です。新URLを決めただけでは設定済みとせず、公開後に実際に開いた結果を記録します。

3. 内部リンク・サイトマップ・正規URLをそろえる

公開前に制作会社へ、対応表に沿って次の3点を新URLへ更新するよう依頼します。社内担当は、新サイトのメニューや本文から目的のページへ進めるかを確認します。

  • 内部リンク: メニュー、本文、関連記事などの行き先を新URLへ直接変更します。転送があるからと旧URLを残し続けないようにします。
  • サイトマップ: 検索エンジンへ伝えるURLの一覧を新URLで用意します。公開後のSearch Consoleへの送信担当も決めます。サイトマップに載せるだけでクロールや登録が保証されるわけではありません。
  • 正規URL(canonical): 代表として扱ってほしいURLを指定する設定です。新ページで自分自身の新URLを指しているか、旧URLや公開前の仮URLが残っていないかを制作会社に確認してもらいます。

これらはGoogleの正規URLの案内に沿って、同じ行き先を示すようにそろえます。canonicalはブラウザーで人を転送する仕組みではなく、Googleが希望どおりのURLを選ぶ保証でもありません。

公開時には、公開対象のページに開発中だけの検索除外設定が残っていないかも確認します。非公開の管理画面や資料まで、一括で制限を外す依頼にしないでください。

4. 制作会社・サーバー会社へ、設定と維持の条件を渡す

公開日を決める前に、次を依頼書や確認メールへまとめるのがhirostaの提案です。設定の書き方はサーバーやCMSで異なるため、この記事では.htaccessなどの記述手順は扱いません。

  1. 確定した対応表: 判断済みの版を渡し、未決定の行と決定担当を明示する。
  2. 設定方法と分担: どの環境で誰が301などの恒久的な転送を設定するか、旧サイト管理者の作業が必要かを確認する。
  3. 維持する期間と契約: 転送を残す期間、旧ドメイン・サーバーなど必要な契約、費用と管理担当を確認する。
  4. 公開日時: 新ページの公開と転送の有効化をいつ行うか、設定できなかった場合の連絡先と公開判断の担当を決める。
  5. 確認担当: 公開直後に誰が旧URLを開き、誰が転送の種類・内部リンク・canonical・サイトマップを調べるかを決める。
  6. 再確認日: Search Consoleを見られる人と次の確認日、問題を直す担当・期限を決める。

Googleは転送をできるだけ長く、一般的には1年以上保持するよう案内しています。利用者のために、さらに長く残すことも検討対象です。「1年たてば必ず止めてよい」という意味ではありません。旧URLへの案内が残る場所や契約条件も含めて、終了時の判断担当を決めましょう。

ドメインやサブドメインも変える場合は、Search Consoleの新旧サイトの所有権確認と、アドレス変更ツールの利用条件を管理担当者に確認してもらいます。このツールは移転・転送設定の後に使います。同じドメイン内のパス変更、HTTPからHTTPSへの変更、同一ドメインでのwwwの有無の変更には使用しません。

5. 公開後は、転送の確認と検索の確認を分ける

次の日程・分担はhirostaの提案です。公開前に実際の日付と担当者名を対応表へ入れます。検索への反映期限を示すものではありません。

いつ・誰が 確認・記録すること
公開直後:社内のページ担当 対応表の旧URLを1件ずつ開き、移動後のURLと本文が予定どおりか記録。削除したページは決めた案内になるか確認
公開直後:制作会社・サーバー管理者 301など予定した応答、最終ページの表示、転送のループ・不要な経由がないこと。内部リンク・canonical・サイトマップも確認
公開当日:Search Consoleの管理担当 新しいサイトマップを送信し、代表的な新URLの登録状況を確認。ドメイン変更時はアドレス変更の対象か確認して対応
公開1週間後を初回の目安に、次の日付も決める:Search Consoleの管理担当と社内担当 新URLの登録状況・取得エラー、検索の表示・クリックの推移を確認。未解決のURLと修正担当・期限を表へ追記

ブラウザーで移動できても、それだけで301などの転送の種類は分かりません。社内担当は表示内容を確かめ、設定担当には応答の種類と経由を確認してもらい、両方の結果を残します。新URLを直接開く確認だけでは、旧URLからの案内は確認できません。

Googleは、移転の処理中に検索での掲載順位が一時的に変動する場合があると案内しています。変動だけで転送ミスと断定せず、誤った転送先・取得エラー・登録状況を分けて調べます。一方で、明らかな転送ミスを「検索の反映待ち」として放置しないようにしましょう。順位やアクセスが維持・回復する時期は約束できません。

登録されない新URLを詳しく調べる手順は公開したHPがGoogle検索に出ないときの確認へ、表示実績があるページの文面改善は検索で表示されてもクリックがない記事の見直しへ進んでください。

6. AIは対応表の下書きと、確認結果の整理を手伝う

AIに任せるのは、公開してよい旧ページ一覧から対応表の下書きを作る、新旧のページ題名から対応候補を出す、人が確認した転送結果の一覧を整理する、といった補助です。ページ題名が似ていても内容が違う場合があるため、転送先の最終決定と、公開後の実際の確認は人が行います。

AIが推測した新URLを、そのまま設定用の確定表にしません。「候補」「人が確定」「設定済み」「公開後に確認済み」を区別し、未確認の結果をAIに埋めさせないようにします。認証情報、顧客情報、非公開ページの一覧・内容などはそのまま渡さず、利用するAIと社内の情報管理ルールに従います。

自社で確定する内容と制作会社へ頼む設定を分けたい場合は、開発・改修の対応範囲とサービス案内をご覧ください。作業範囲が決まっていなくても、お問い合わせから今の困りごとをご相談いただけます。