AIで下書きした業務文書や記事の「それっぽさ」を、意味を変えずに減らしたい。hirostaは、日本語の決まり文句や文型の繰り返しを点検し、書き直すスキル「ai-smell-ja」を作り、2026年10月21日にMITライセンスで公開しました。
この記事は、公開済みのスキルと、AIが作成・書き直しした架空の短文3本の検証記録を紹介するものです。機械で拾う表現は合計8件から1件になりました。ただし、自然さ・読みやすさ・作業時間は測っておらず、本番運用の成果ではありません。
1. なぜ作ったか:表現を整えても、約束は変えたくない
「〜において」「〜を実現」「さまざまな」が重なった文章や、段落ごとに同じ型が続く文章は、見直す余地があります。一方で、言葉を短くするだけでは、任意の依頼を義務に変えたり、提案を実績のように見せたりしかねません。
ai-smell-ja は、意味・数字・期限・依頼の強さを保ちながら書き直し、修正文と、変更箇所・理由を返す ためのスキルです。社内の文書・ブログ・提案文をAIで下書きするときの、見直しの手順として使うことを想定しています。
着想元は英語のHumanizerと中国語版Humanizer-zh(いずれもMIT)です。表現のパターンを整理して見直すという着想を参考にし、日本語のパターンは自前で書きました。文面や一覧の翻訳ではありません。着想元へのリンクは公開READMEにあります。
2. 中身と入れ方:AIによる書き直しと、機械の点検を分ける
ファイル・フォルダー
役割
SKILL.md
文章を読み、情報と語調を保って書き直す手順
references/patterns-ja.md
日本語のパターン一覧と、直し方・残す条件
scripts/check.py
機械で見つけられる表現を行・列つきで数える補助スクリプト
examples/
架空の業務連絡・ブログ・提案文の書き直し前後
Claude Codeなど、スキルを読み込めるAIエージェントで使います。公開リポジトリを取得し、skills/ai-smell-ja フォルダーを利用するエージェントのスキル置き場へコピーします。Claude Code向けのコピー手順はREADMEの「入れ方」 にあります。同名のフォルダーがあれば、内容を確認してからコピーしてください。
読み込んだエージェントに、次の依頼と対象の文章を渡します。
ai-smell-jaで、次の業務連絡のAIっぽい表現を見直してください。
意味、数字、期限、依頼の強さは変えず、修正文と変更理由を出してください。
補助スクリプトはPython 3の標準ライブラリだけで動き、追加の依存は不要です。文章を変更せず、ネットワークにもアクセスしません。AIエージェントで書き直すときの文章の取り扱いは、利用するサービスの条件を別に確認してください。
3. 結果と限界:架空の短文3本で、8件から1件へ
2026年10月21日、AI(Codex)がスキルの手順に沿って作成・書き直しした3本を、同じcheck.pyで点検した公開記録です。
素材
書き直し前
書き直し後
業務連絡
3件
1件
ブログ
3件
0件
提案文
2件
0件
合計
8件
1件
業務連絡の「さまざまな」は、形式の多様さを保つために残しました。0件を目標にしていません。 同じAIによる照合では、期限・数値・対象・否定・提案段階・未確認の効果を保持できました。ブログの定型の呼びかけは削除し、語調の変化として記録しています。
ブログの2・3行目は、同じ文型を解いても機械の検出件数は前後とも0件です。件数だけでは、こうした変更を表せません。
長文・会話・契約書などへの向き不向きは未確認です。自然さ・読みやすさ・作業時間も未測定で、意味の保持は第三者の評価ではありません。辞書にない表現、表記揺れ・活用、カタカナ語の適否、強調の根拠、段落ごとの同じ型は、読んで判断する必要があります。
利用時は、原文と修正文を並べ、数字・期限・対象・否定・提案か実施済みかを人が確かめてください。「ご確認ください」が元の依頼より強くなっていないか、呼びかけを削ってよいかなど、語調も確認してから採用・保存します。以下では、公開例文の全文、点検だけを試せるデモ、実行記録の順に見られます。
4. 実際の入出力を比べる すべて架空の素材です。色と下線で変更・削除した箇所を示します。下線のない部分はそのままです。ブログの末尾の呼びかけは、書き直し後にはありません。
業務連絡 − 書き直し前(変更・削除箇所に下線) 資料の提出において、期限を守ることが重要 です。
さまざまな形式の資料を 受け付けます。
提出期限は架空の研修日の3日前、午後5時です。
提出先は研修担当です。
+ 書き直し後(変更箇所に下線) 資料は期限を守って提出することが大切 です。
資料はさまざまな形式で 受け付けます。
提出期限は架空の研修日の3日前、午後5時です。
提出先は研修担当です。
ブログ − 書き直し前(変更・削除箇所に下線) ご存じのとおり、この記事では 架空の読書会における 記録方法を紹介します。
一つ目の工夫は、感想を 1人2行で書くことです 。
二つ目の工夫は、記録を 会の終了後に 参加者だけで共有することです 。
いかがでしたか。
+ 書き直し後(変更箇所に下線) 架空の読書会での 記録方法を紹介します。
感想は 1人2行で書きます 。
記録は 会の終了後、 参加者だけで共有します 。
提案文 − 書き直し前(変更・削除箇所に下線) 架空の備品貸出窓口において 、記入漏れの削減を実現する 案を提案します。
案の内容は、 申込用紙の記入欄を6項目から4項目に減らすことです 。
一方で、 貸出期間は7日間のままで、延長はできません。
この案は試行前のため 、記入漏れが減るかどうかは分かりません。
+ 書き直し後(変更箇所に下線) 架空の備品貸出窓口で 、記入漏れを減らす 案を提案します。
申込用紙の記入欄を6項目から4項目に減らす案です 。
貸出期間は7日間のままで、延長はできません。
まだ試していないため 、記入漏れが減るかどうかは分かりません。
変更箇所と理由 5. 自分の文章で、点検候補を見つける 処理はブラウザの中だけで行い、文章を送信・保存しません。外部のライブラリ・通信は使いません。できるのは「見つける」までで、書き直しはしません。
件数は点検候補の数です。自然さや「AIが書いたか」の判定ではありません。各行の一致をすべて数えます。機械では、文型の繰り返しやカタカナ語の適否、強調の根拠は判断しません。
点検する文章 JavaScriptを有効にすると、入力に合わせて候補を表示します。
比較と実行記録は、そのまま読めます。
点検箇所(下線つき)
分類ごとの件数と、直し方・残す条件
重要さの結び:— 件 対象:ことが重要です 依頼なら「〜してください」。重要性そのものを論じる文なら残します。
範囲のぼやけた修飾:— 件 対象:さまざまな 対象が原文にあるときだけ名称に。分からなければ広さを残し、件数は推測しません。
重い場面表現:— 件 対象:において / における 「〜で」「〜での」に。正式な引用などは保ちます。
抽象的な達成表現:— 件 対象:を実現 「〜を減らす」などに。達成済み・目標・提案の区別を保ちます。
結論前の助走:— 件 対象:ご存じのとおり 結論を先に。独立した情報は後ろへ移し、削りません。
強調:— 件 対象:非常に / 圧倒的 比較や裏付けを確認。書き手の評価なら勝手に削りません。
依頼の敬語:— 件 対象:いただけますと幸いです 関係に合えば「ご確認ください」。任意の依頼を義務に変えません。
定型的な締め:— 件 対象:いかがでしたか 本文と関係のない呼びかけなら省略。実際に感想を求めるなら残します。 6. 実行記録をターミナル風に再生する スキルの手順に沿ってAI(Codex)が書き直したときの記録と、公開しているスクリプトの実際の出力を、再生して見せています。2026年10月21日の業務連絡の記録です。ここでAIやPythonを実行するものではありません。段階の見出しを付け、変更理由は公開READMEから掲載しています。
再生 最初から 全文を表示しています
動きを減らす設定の方には、最初から全文を表示します。
① スキルへの依頼文
ai-smell-jaで、次の業務連絡のAIっぽい表現を見直してください。
意味、数字、期限、依頼の強さは変えず、修正文と変更理由を出してください。
② 書き直し前の点検
$ python3 scripts/check.py examples/notice-before.txt
1:6 重い場面表現 において
1:16 重要さの結び ことが重要です
2:1 範囲のぼやけた修飾 さまざまな
分類別件数:
重要さの結び: 1
範囲のぼやけた修飾: 1
重い場面表現: 1
抽象的な達成表現: 0
結論前の助走: 0
強調: 0
依頼の敬語: 0
定型的な締め: 0
合計: 3
件数は点検候補の数です。自然さや執筆者を判定する値ではありません。
③ AIの書き直しの結果
資料は期限を守って提出することが大切です。
資料はさまざまな形式で受け付けます。
提出期限は架空の研修日の3日前、午後5時です。
提出先は研修担当です。
変更箇所と理由(公開READMEより)
業務連絡1:「において」を解き、期限を守る重要性を「大切です」で維持。提出義務を新たに加えていません。
業務連絡2:語順を変更。形式の多様さを残すため「さまざまな」は維持。形式名や件数は加えていません。
業務連絡3・4:変更なし。「研修日の3日前」「午後5時」「研修担当」を保持。具体的な日付は推測していません。
④ 書き直し後の点検
$ python3 scripts/check.py examples/notice-after.txt
2:4 範囲のぼやけた修飾 さまざまな
分類別件数:
重要さの結び: 0
範囲のぼやけた修飾: 1
重い場面表現: 0
抽象的な達成表現: 0
結論前の助走: 0
強調: 0
依頼の敬語: 0
定型的な締め: 0
合計: 1
件数は点検候補の数です。自然さや執筆者を判定する値ではありません。候補が残っていても、意味を保つために必要なら残します。件数と変更理由の両方を見て、修正文を採用するか人が決める手順です。