1. ネットワークに加入し、初めての連絡会議にオンラインで参加した

中国地域DX推進支援ネットワークは、中国経済連合会、中国経済産業局、中国財務局が事務局を務め、2024年7月に発足したネットワークです。各県・市が個別に進めてきたDX支援の横の連携を強め、中国地域全体のデジタル化・DXを効果的・効率的に進めることを目的にしています。

公式サイトによると、参画機関は2026年10月現在で71機関です。金融機関、地方公共団体、ITベンダー、ITコーディネータ、士業・コンサルタント、商工会・商工会議所、産業支援機関、大学などが参加しており、hirostaもITベンダーの一つとして一覧に掲載されています。

企業向けには、公式サイトでDXの取り組み事例、人材育成、セミナー、DX支援機関、補助金などの支援策を案内しています。問い合わせ先は、事務局の中国経済連合会です。DXを何から始めればよいか、どこに相談すればよいか迷っている場合は、まず公式サイトを見てみるとよいでしょう。

hirostaは、このネットワークに加入した後、2026年10月28日に開かれた第2回連絡会議の案内を受け、オンラインで参加しました。会議では、今年度の活動の進み具合、事務局からの情報共有、参画機関の取り組み紹介などがありました。

今回は初めての参加で、発言や発表はしていません。それでも、事務局や参画機関から、ネットワークの今年度の活動や今後の取り組みを一度に聞けたことは、地域で仕事をする事業者として大きな収穫でした。

2. 印象に残ったのは、DX人材バンクの構想

特に関心を持ったのが、中国地域の広域連携の取り組みとして説明された「DX人材バンク」の構想です。既存のネットワークに、地域のDX人材を集めて広域で活用できる機能を加えるというものです。

この構想は、中国5県、中国経済連合会、5県の商工会議所連合会による広域連携の「中国地域広域リージョン連携ビジョン」(2026年5月)にも、産業振興分野の「中堅・中小企業のDX支援プロジェクト」として載っています。ビジョンでは「DX人材プール」という名前で、次のような取り組みが挙げられています。

  • 5県が連携してDX人材プールをつくり、企業の課題に応じて人材を支援に生かす
  • 専門分野を持つ支援機関を、中国地域DX推進支援ネットワークがチームにまとめて企業を支援する
  • 企業1社にとどまらず、サプライチェーン全体のDXも視野に入れる
  • 5県の支援メニューや成功事例を整理し、地域をまたいで共有する

ビジョンでの実施期間は2027年度から2029年度で、事業費などは今後、関係者で調整するとされています。時期や運営の形は、これから具体化していく段階です。

期待するのは、課題に合う人と支援機関がつながること

中小企業の困りごとは、一つの分野で閉じないことが多くあります。たとえば「受注の転記に時間がかかる」という相談でも、業務の手順の見直し、使っているソフトの設定、システム同士の連携、補助金の活用、社内のルールづくりが関わることがあります。

一つの支援機関や事業者だけで、そのすべてに答えるのは簡単ではありません。課題に応じて、支援機関と専門人材が役割を分けて関われる仕組みができれば、相談した企業が「次に誰に聞けばよいか」で止まる場面を減らせるのではないかと期待しています。

どのような人材が、どのような形で登録・活用されるのかは、今後の具体化を待つ段階です。hirostaとしても、詳しい内容が示されたら、関われる形があるかを検討します。

3. DXを軸に、AIを業務に組み込むことが大切になっていると感じた

会議では、中国経済産業局から「中小企業におけるAX推進の方向性」についての説明もありました。AX(AIトランスフォーメーション)は、AIを業務や経営の仕組みに組み込み、事業を変えていく取り組みを指す言葉として使われています。

同じ題名の資料は、国の会議資料(中小企業庁、2026年10月21日)として公開されています。資料では、2026年版の中小企業白書・小規模企業白書の概要をもとに、AIを活用している中小企業は約3割にとどまること、AIを活用していない企業が挙げた理由で最も多いのは「活用する業務がイメージできていない」ことが示されています。どの業務に使えるか、導入にどんな手続きが要るかを、企業が具体的に思い描けることが大切だという問題意識です。

そのうえで、経営者とAIベンダー・専門家、商工会・商工会議所の経営指導員などの支援者が出会い、AIの「体験」を通じて導入を始める場(中小企業AX実装ネットワーク)を地域ごとにつくることが挙げられています。業種別に、AIの使い方の流れや指示文を整理したガイド(業種別AXスタートガイド)をつくる方針も示されています。

会議全体を通して、DXを軸にしながら、AIを実際の業務へ組み込むAXの重要性が増しているという印象を持ちました。

体験の次に必要になる工程

AIを試して「便利そうだ」と感じても、それだけで日々の業務が変わるわけではありません。業務で使い続けるまでの工程を、hirostaの考えで整理すると次のようになります。

工程 すること 人が決める・確かめること
体験・相談 生成AIを実際に触り、自社の業務で使えそうな場面を出す どの困りごとを優先するか
業務を決める 対象の業務を一つに絞り、今の手順・件数・かかる時間を書き出す 何が良くなれば成功とするか。AIの使い方の社内ルール
データを整える AIに渡す資料や表の置き場所・形式・最新版をそろえる AIに渡してよい情報か、どれが正しい版か
既存のシステムとつなぐ 販売管理・会計・表計算など、今使っている仕組みとの受け渡しを決める 二重入力や転記が新たに増えないか
現場で運用・見直す 担当者が実際に使い、間違いや手戻りを記録して直す 出力を誰が、どの時点で確認するか

白書の数字が示すように、AIを活用していない企業の多くは、最初の「どこに使えるか」の段階で迷っています。一方で、使いどころが決まった後も、データがばらばらに置かれている、今のシステムとつながらずに手入力が増える、確認する人が決まっていない、といった理由で止まることがあります。

4. セキュリティへの関心の高まりもうかがえた

会議の冒頭では、PHPの脆弱性の問題にも話が及びました。PHPは、多くのWebサイトや業務システムで使われているプログラミング言語です。古い版のまま使い続けると、修正されていない脆弱性が残るおそれがあります。

その後、情報処理推進機構(IPA)から、DX認定制度とSCS評価制度の説明もありました。

  • DX認定制度:DX推進の準備が整っていると認められた事業者を、国が認定する制度です。審査はIPAが担います。
  • SCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度):取引先を含むサプライチェーン全体で、企業のセキュリティ対策の水準を★3・★4などの段階で示す制度です。IPAが運営し、★3・★4は2027年3月ごろの運用開始が予定されています。

AIによって仕事のスピードが上がる一方で、起こりうる問題も高度になっていきます。そうした中で、セキュリティの重要性と関心が高まっていると感じました。

AIや新しいシステムを業務に組み込むほど、使っているソフトの更新、アクセス権限の管理、外部のサービスに渡すデータの確認も欠かせなくなります。業務の改善とセキュリティ対策は、別々ではなく一緒に考える必要があると感じました。自社のWebサイトがPHPを使っているかの確かめ方は、自社サイトはPHPを使っている?制作会社に確認したいことで紹介しています。

5. hirostaとして感じたこと

hirostaは、中小企業向けにAI業務改善・業務自動化を支援しています。どの業務から手を付けるか、何を目指すかといった課題の整理・構想づくりの上流から、AIや既存ツールを使った仕組みづくり、導入後の保守・改善までを一貫して担います。業務システムの開発・改修・連携を強みにしているため、検討した内容を、実際に動く仕組みにするところまで進められます。

その立場から見ると、3章の表の工程は、最初の体験・相談から最後の運用・見直しまで、どれもhirostaが一緒に進められる範囲です。特に、使いたい業務が決まった後に、データをどう整え、今のシステムとどうつなぎ、現場でどう回し続けるかという後半の工程は、体験や相談だけでは進みにくく、開発の経験が生きる部分だと考えています。

AIを使うこと自体を目的にしない

業務を見直すと、AIより通常の自動化や、今のソフトの設定変更のほうが合う工程も出てきます。AIを入れること自体を目的にせず、業務全体の流れの中で、AIに任せる工程、通常の自動化で済む工程、人が判断する工程を分けて考えることが大切だと考えています。

人が確かめる工程まで含めて、業務を組み立てる

AIの出力には誤りが含まれることがあります。そのため、AIが下書きや候補を作り、人が内容を確かめて決める工程を、最初から業務の流れに入れておく必要があります。

hirosta自身も、このサイトの運営で、AIが作業や確認をし、人が着手と公開を承認する進め方をとっています。その記録はAIチームでサイトを運営した記録で紹介しています。お客様の業務でも、誰が、どの時点で、何を確かめるかを決めることが、AIを使い続けるための前提になると考えています。

地域の支援の中で、検討から実装・保守までをつなぐ

ネットワークには、相談を受けて支援につなぐ機関から、システムの開発・導入を担う事業者まで、さまざまな役割の機関が参加しています。その中でhirostaは、課題の整理から、AIや既存ツールを業務に組み込み、使い始めた後も直し続けるところまでを一続きで支援できる立場として、力になれると考えています。

ネットワークの中でhirostaがどのように関われるかは、これから活動に参加しながら考えていきます。まずは連絡会議やネットワークの情報を通じて、地域の支援の動きを知ることから始めます。

6. まとめ

  • 中国地域DX推進支援ネットワークに加入し、2026年10月28日の第2回連絡会議にオンラインで参加しました。
  • 特に印象に残ったのは、支援機関と専門人材が連携して企業を支援するDX人材バンクの構想です。現時点では構想の段階で、今後の具体化に期待しています。
  • 会議全体からは、DXを軸に、AIを業務へ組み込むAXの重要性が増しているという印象を受けました。
  • PHPの脆弱性、DX認定制度、SCS評価制度の話もあり、AIでスピードが上がり問題も高度になる中で、セキュリティの重要性と関心が高まっていると感じました。
  • AIは、体験の後に、業務を決め、データを整え、今のシステムとつなぎ、人が確かめながら運用する工程まで進めることで、業務に定着しやすくなると考えています。

7. ネットワークへの参加方法

中国地域DX推進支援ネットワークは、企業のDXを支援する機関の参加を常時募集しています。公式サイトの参加申し込みのページによると、対象は次のような支援機関で、中国地域に拠点があれば、特別な参加資格はないとされています。

  • 地方公共団体、商工会・商工会議所、中小企業団体中央会
  • 地域の金融機関
  • ITベンダー、コンサルタント
  • 公益財団法人、一般社団法人、業界団体
  • 大学などの教育機関

申し込みは、参加申し込みのページから参加申込書(Word形式)をダウンロードし、必要事項を書いて事務局へ提出します。提出先や費用などの詳細は、参加申し込みのページで確かめるか、事務局(中国経済連合会)にお問い合わせください。

DXを進めたい企業の方は、参画機関として加入しなくても、公式サイトで事例や支援機関、補助金などの情報を探したり、事務局に問い合わせたりできます。