1. 試したこと:数字の比較から、欄ごとの根拠へ戻す
就労証明書の時間が勤怠表と同じでも、正しい欄へ転記できたとは限りません。今回は、下書きのNo.6と9月実績を並べる初版を作り、その後、No.6・7・12を別々の根拠と対応させる修正版を作りました。各形式を1回ずつ出力しています。
既存の記事は確認の一般手順です。本記事は、架空の下書きを実際に整理し、比較表を出力した記録に限ります。年休管理や通勤手当の照合とは異なり、「証明書の欄と転記元の対応」を扱います。
今回使った公的資料の範囲
2026年10月23日に、広島市の掲載ページと就労証明書PDF、こども家庭庁の掲載ページと様式・記載要領PDFを確認しました。
国の記載要領では、No.6は実績ではなく契約上の時間で、短時間勤務制度の利用時も制度利用前の時間を記す区分です。No.7は月ごとの実績で、有給休暇の取得日を日数に、規定の休憩・残業を時間数に含めます。No.12には短時間勤務制度の利用状況・期間・利用後の時間帯を記します。市の記載例にも、育児短時間勤務の場合は正規の時間を記す旨があります。
以下はこの区分を使った照合の試作です。自治体の指定と異なる場合の適用判断はしていません。様式はURLと確認日で特定し、表示されていない年度や改訂日を補っていません。
2. 作り方の要点:資料・想定・AI・コードを分ける
架空の資料と、対象の時点
証明の基準日を2026年10月23日、実績の対象を2026年9月・8月・7月と設定しました。会社・社員・契約・勤怠・制度記録はすべて架空です。氏名・住所・児童情報・連絡先は持たせていません。
全員固定勤務です。月別勤怠は、必要な休憩・残業・有給休暇の扱いを反映した集計済みの資料という設定で、日別の打刻からは集計していません。下書きは時間・日数等の抜粋で、発行できる証明書一式ではありません。
| 社員 | 契約表の月間時間・時間帯 | 月別勤怠の時間(9月/8月/7月) | 制度利用記録 |
|---|---|---|---|
| E1 | C1:160時間、9〜17時 | A1:168/160/176時間 | S1:利用なし |
| E2 | C2:160時間、9〜17時 | A2:180/168/160時間。9月は残業12時間を含む | S2:利用なし |
| E3 | C3:通常160時間、9〜17時 | A3:120/126/160時間 | S3:8月1日〜翌年3月31日、取得中、9〜15時 |
| E4 | C4a:9月末まで160時間・9〜17時。C4b:10月1日から120時間・9〜15時 | A4:160/168/160時間 | S4:利用なし。通常の契約変更 |
| E5 | C5:120時間、9〜15時 | A5:126/120/132時間。参考の6月は120時間 | S5:利用なし |
| E6 | 契約なし。M6は「144時間」のメモで、期間・単位・休憩の内外は不明 | A6:132/資料なし/120時間 | S6:資料なし |
C1〜C5は月平均20日、休憩込み・残業を除く月間時間が記載された設定です。E3の通常契約と制度利用時、E4の新契約とも規定休憩は1日60分です。C1〜C5の数値を日別実績から逆算してはいません。
下書きには、照合で扱う食い違いを最初から含めました。AIが作成中に偶然起こしたミスの件数ではありません。
| 社員 | 下書きNo.6 | 下書きNo.7の時間(9月/8月/7月) | 下書きNo.12 |
|---|---|---|---|
| E1 | 160時間、9〜17時 | 168/160/176時間 | 空欄 |
| E2 | 180時間、9〜17時 | 180/168/160時間 | 空欄 |
| E3 | 120時間、9〜15時 | 120/126/160時間 | 空欄 |
| E4 | 160時間、9〜17時 | 160/168/160時間 | 空欄 |
| E5 | 120時間、9〜15時 | 120/132/120時間 | 空欄 |
| E6 | 144時間、時間帯は空欄 | 132/144/120時間 | 空欄 |
No.7の日数も月ごとに持たせました。E1は21/20/22日、E2は21/21/20日、E3・E4は20/21/20日で、下書きと勤怠が一致する設定です。E5は勤怠の21/20/22日に対し、下書きは20/22/20日。E6は勤怠が22日/資料なし/20日、下書きが22/24/20日です。E6の8月は日数・時間とも根拠がありません。
候補を整理する前に残した想定
同じAIが次の想定を先に保存し、時刻とハッシュを記録しました。候補整理後も想定は書き換えていません。人が作った独立した正解ではありません。
| 社員 | 先に固定した想定の要点 |
|---|---|
| E1 | No.6はC1、No.7はA1と一致。契約と9月実績の差だけで誤記にしない |
| E2 | No.6はC2と不一致、No.7はA2と一致。残業を契約へ混ぜない |
| E3 | No.6は通常契約と不一致。No.12の空欄をS3の利用状況・期間・時間帯と照合する |
| E4 | No.6は基準日に有効なC4bと不一致。No.7は過去の実績と一致 |
| E5 | No.6はC5と一致、No.7は全3か月の日数・時間が不一致。月ずれの疑い |
| E6 | 契約・8月勤怠・制度記録は資料不足。9月と7月の日数・時間だけ一致 |
分担と、修正版への指示
汎用の生成AIに指示して処理した部分は、作業中のAI自身による資料の対応付け、根拠の選択、不足資料・確認先の整理、想定との読み合わせです。外部のAIサービスやAPIは使っていません。
No.6は基準日に有効な契約へ、No.7は年月が同じ勤怠へ戻す。
育児短時間勤務の通常契約と制度利用記録は別に残す。
No.12は利用状況・期間・時間帯を制度記録と照合する。
原文、資料番号、対象月、有効日、不足資料、次の確認先を残す。
資料なしを利用なし・実績ゼロにしない。不明な単位を換算しない。
全件を人の確認待ちにする。修正確定・発行・提出はしない。
Pythonの短い試作コードには、AIが対応付けた値と資料番号を保存したJSONを渡しました。コードは数値の比較とMarkdown表の出力だけを行います。比較部分は次の形です。
def compare(draft, source):
if source is None:
return "資料不足"
return "一致" if draft == source else "不一致"
コードが契約書を読み取ったり、AIを自動で呼んだりする仕組みではありません。根拠を選び間違えれば、コードも誤った相手と比較します。時間帯・制度記録の確認点はAIの注記として残しました。
3. 結果:同じ数字だった3人でも、契約との食い違いがあった
初版:No.6と9月実績だけを比較
| 社員 | 下書きNo.6/9月実績 | コードの数値比較 | その比較だけでは分からなかったこと |
|---|---|---|---|
| E1 | 160/168時間 | 不一致 | No.6は契約160時間と一致している |
| E2 | 180/180時間 | 一致 | 契約は160時間。残業込み実績との一致だった |
| E3 | 120/120時間 | 一致 | 通常契約は160時間。No.12の空欄も残る |
| E4 | 160/160時間 | 一致 | 基準日の契約は120時間。過去月の実績と比べていた |
| E5 | 120/126時間 | 不一致 | No.6は契約と一致し、ずれているのはNo.7の対象月 |
| E6 | 144/132時間 | 不一致 | 契約の根拠と単位が不明。差の大小で修正値を決められない |
この「一致」は数字が等しいという意味だけです。初版は正誤や発行可否を判定していません。それでも、E2〜E4の3件の表示を「確認済み」と読んでしまうと、契約との食い違いが残ります。
修正版:欄ごとの資料と対象月を比較
表は横にスクロールして読めます。全件の処理状態は人の確認待ちです。「一致」は掲載した架空資料との対応であり、証明内容の承認ではありません。
| 社員・欄 | 下書きと根拠 | 修正版の結果・理由 | 想定との読み合わせ | 不足資料・次の確認先 |
|---|---|---|---|---|
| E1・No.6/7 | No.6の160=C1。No.7=A1の各月の日数・時間 | いずれも一致。9月実績168へNo.6をそろえない | 一致。契約と実績の差を誤記にしていない | 原契約・勤怠・S1の裏付け。発行担当者 |
| E2・No.6/7 | No.6の180≠C2の160。No.7=A2の各月 | No.6は不一致、No.7は一致。実績の残業12時間を区別 | 一致。No.7の180も160へ直していない | 契約と残業を含む集計の原記録。契約・勤怠担当者 |
| E3・No.6/7/12 | No.6の120・9〜15時≠C3の160・9〜17時。No.7=A3。No.12空欄とS3 | No.6は不一致。No.12は取得中・8月1日〜翌年3月31日・9〜15時を確認点に残す | 一致。通常契約と制度利用時を分けた | 制度利用の承認記録と通常契約。制度管理・発行担当者 |
| E4・No.6/7 | No.6の160・9〜17時≠C4bの120・9〜15時。No.7=A4 | No.6は不一致。10月1日の変更を示し、7〜9月実績は維持 | 一致。制度利用S4なしと契約変更を区別 | 変更契約の有効日と原記録。契約・発行担当者 |
| E5・No.6/7 | No.6の120=C5。No.7の120/132/120≠A5の126/120/132。日数も全月不一致 | No.6は一致。No.7は6〜8月を7〜9月として転記した疑い | 一致。月ごとに戻して確認点を特定 | 年月表示と元の集計表。勤怠担当者 |
| E6・No.6/7/12 | No.6の144はC6なし・M6単位不明。No.7の8月144時間・24日に根拠なし。S6なし | 資料不足。9月・7月の日数時間のみ一致。制度利用なしとも決めない | 一致。資料のない144時間を換算・補完しない | 原契約、8月勤怠、制度利用記録。契約・勤怠・制度管理担当者 |
修正版の数値比較・根拠・注記を想定と読み合わせた範囲では、6件とも想定と整合しました。想定を知る同じAIによる自己照合であり、正答率ではありません。E6の不足は解消しておらず、ほかの5件も人が原記録を確かめた状態ではありません。S1・S2・S4・S5は利用なしの記録と対応させましたが、空欄のまま発行してよいと判断したわけではありません。
かかった時間と測定範囲
2026年10月23日、想定表を固定したUTC 01:04:58から、全6件の読み合わせを保存した01:05:54までの経過は56秒でした。AIによる値の対応付け、試作コードの作成、初版・修正版の出力、同じAIの読み合わせ保存を含みます。素材・想定の準備、公的資料の調査、記事編集、ビルド・画面確認は除きます。人の確認時間や業務の削減時間ではありません。
4. うまくいかなかったことと、直したこと
初版は数字を並べる表として動きましたが、食い違いのある欄を担当者に渡すには情報が足りませんでした。E1は正常な契約と実績の差を表示し、E2〜E4はNo.6と9月実績が同じでも契約との違いを表に残せませんでした。E5も、どの月の転記を確認すべきかが分かりません。
そこで修正版では比較相手を欄ごとに変え、資料番号・対象月・契約の有効日・制度記録・確認点を追加しました。これは、意図的に項目を絞った初版との表示方法の比較です。別々のAIの能力比較や、AIが偶然した誤答を直した実験ではありません。初版・想定表はそのまま残しました。
修正版で新たな取り違えは読み合わせ上見つからず、再試行はしていません。ただし、E6は列を増やしても契約・8月勤怠・制度記録を復元できません。欠けた資料を集める工程が必要でした。月途中の契約変更、変則勤務、休業により対象月を遡るケース、実物のPDFや表計算からの読み取りは試していません。
5. 実際の業務で使う前に確認すること
- 申請先と様式:自治体・利用年度・指定様式のURL・確認日を記録し、項目名まで照合します。今回の抜粋表だけで証明書全体を確認済みにしません。
- 契約と時点:証明する時点の契約、変更の有効日、制度利用前の条件を確かめます。短時間勤務制度と恒常的な契約変更を同じ扱いにしません。
- 勤怠の集計条件:年月、日数・時間の単位、有給休暇・規定休憩・残業の扱いを原記録で確認します。契約時間との一致を目標に実績を直しません。
- 不足の引き継ぎ:資料のない欄、集める資料、確認担当者を決めます。資料なし・利用なし・実績ゼロは別々に残します。
- 確認と発行:今回のAI整理と独立に担当者が原記録を照合し、発行権限者が承認します。自治体への提出・認定は別の工程です。社員・家族の実情報を、そのままAIへ渡す運用にはしません。
6. 相談への案内
契約と勤怠が別の場所にあり探すのに手がかかる、下書きの差し戻し理由が残らない、といった困りごとから整理できます。勤怠・労務の業務改善とサービス・料金をご覧のうえ、無料相談で今の流れをお知らせください。