1. 販路開拓の計画に必要なシステムかを確かめる

まず「顧客管理システムが欲しい」ではなく、誰に、どの商品・サービスを、どう届けるかを決めます。そのうえで、顧客情報の整理や販促活動のどの部分にシステムが必要かを説明できるようにします。

第20回要領は、自ら策定した経営計画に基づく販路開拓等と、それと併せて行う業務効率化を支援する制度です。業務効率化も対象になり得ますが、販路開拓を伴わない効率化だけの計画とは区別が必要です。 商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組むことも条件になっています。根拠:公募要領p.6〜7「4.補助対象事業」

経費だけでなく、自社が対象事業者か、過去の補助金の利用・報告状況などから対象外にならないかも確認してください。公募要領p.4〜6「2.補助対象者」「3.補助対象外となる事業者」が確認先です。

制度全般の選び方はAI導入に使える補助金・助成金の記事と制度案内で説明しています。ここからは、持続化補助金でシステム費用を検討する際の条件に絞ります。

2. システムの経費は「ウェブサイト関連費」で確認する

第20回要領のウェブサイト関連費は、ウェブサイトだけの費目ではありません。販路開拓等のためのシステムの開発・構築・更新・改修・運用を含み、オフラインのシステムも扱います。公式FAQも、システムの購入・開発や、販路開拓等のための特定業務用ソフトの購入を同費目で計上すると案内しています。

確認する費用 第20回の扱い・確認点
顧客管理システムの構築 要領の対象経費の例。販路開拓の計画との関係を明確にする
販促活動に役立てる顧客管理ソフト 特定業務用ソフトの例。商品名だけでなく、用途・機能で確認する
開発や導入を外注する費用 システムに関連する経費はウェブサイト関連費。外注だからという理由で委託・外注費に移さない
商品・サービスを案内するチラシや広告 広報費の条件と照合する。システム費用とは分けて見積もる

根拠:公募要領p.12〜14「7.補助対象経費」、公式FAQ Q3-11。費目の名前ではなく、実際の支出内容に合わせます。

上限は「補助金交付申請額」の30万円

ウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。 システムの購入・開発費そのものの上限や、30万円を受け取れるという意味ではありません。補助対象となる経費に補助率を適用し、制度全体の上限も含めて確認します。

また、ウェブサイト関連費だけでは申請できず、ほかの対象経費と一緒に申請する必要があります。不要な支出を増やすのではなく、販路開拓の計画全体で必要な経費を整理してください。公式FAQでは広報費とウェブサイト関連費を組み合わせた申請は可能としています。賃金引上げ特例でも、この2費目の上限は上乗せされません。

根拠:公募要領p.11〜14、公式FAQ Q3-19・3-20・3-24。過去の公募回の金額や比率を第20回へ流用しないようにしましょう。

3. 対象外のソフトと、AI機能を分けて考える

公募要領p.14では、次を対象外の例に挙げています。

  • 家庭・一般事務用のソフトウェア
  • すでに導入しているソフトウェアの更新料
  • 販売を目的としたシステム・ソフトウェアの開発
  • ウェブサイトやシステムに関するコンサルティング・アドバイス費用

「顧客管理にも使える」「販促にも役立つ」という説明だけで、汎用の事務ソフトや日常の更新料まで対象に含めないでください。根拠:公募要領p.14「③ウェブサイト関連費」対象とならない経費例

独自のAI機能も、汎用AIの月額料金も個別に確認する

公式の対象例には顧客管理システムや販促活動に役立てる顧客管理ソフトがあります。一方、その例だけを根拠に、独自のAI分析機能や、汎用の生成AIサービスの月額利用料まで対象と判断することはできません。「AIだから対象」「AIだから対象外」のどちらにも決めつけないことが大切です。

独自のAI機能を組み込む場合は、販路開拓のために必要な機能と用途、開発費、利用料、契約期間、相談・助言費を分けた仕様と見積りを用意します。汎用AIの利用料も、用途と費用の内訳を示し、一般事務用ソフトに当たらないかを含めて補助金事務局へ確認してください。確認できるまでは、補助される前提で契約しないようにします。根拠:公募要領p.12・14、公式FAQ Q3-8(要領にない経費の確認先)

4. 発注・契約は交付決定後、支払いも対象期間内に

経費が対象の種類でも、契約時期を外すと対象外になります。第20回の条件を次の順で確かめましょう。

  1. 交付決定通知を確認する:申請済み、採択済みというだけでは発注できません。交付決定日前の発注・契約・支出は対象外です。
  2. 補助事業期間内に導入・支払いを終える:第20回の補助事業実施期間は、交付決定日から2028年3月31日までです。実績報告の期限まで支払いを延ばせるという意味ではありません。
  3. 利用期間を分ける:契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権は、按分等で算出した補助事業期間分だけが対象です。契約全期間の料金を一括で含めないようにします。
  4. 支払額の証拠を残す:用途を明確にし、見積り・契約・納品・支払いを示す資料を保管します。見積りが複数項目を含む場合は内訳を示します。

根拠:公募要領p.12・14(経費の条件・使用権)、p.24「9.補助事業実施期間等」「10.補助事業者の義務」。補助金は後払いです。対象外の費用や補助事業終了後の利用料も含め、支払いに必要な資金を自社で確認してください。

5. 様式4の締切は、申請締切より早い

2026年10月24日に確認した第20回の日程は、次のとおりです。

手続き 日程
申請受付開始 2026年11月5日(木)
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 2026年12月4日(金)
申請受付締切 2026年12月15日(火)17:00

根拠:商工会議所地区の公式トップ、商工会地区の公式トップ、公募要領p.3。予定は変更される場合があります。

12月15日に間に合えばよいと考えず、先に様式4の準備を進めます。公募要領では、12月4日の受付締切を過ぎてからの発行依頼はできないとしています。発行には時間がかかる場合があるため、窓口の開設時間・相談予約・必要書類を早めに確認しましょう。

事業所の地域によって相談窓口が異なる

商工会地区は商工会地区の案内、商工会議所地区は商工会議所地区の案内から管轄の窓口を確かめます。どちらの地区かを確認せず、一方の手順をそのまま使わないでください。

要領p.22では、商工会地区は電子申請システムで発行を依頼し、窓口で面談・発行を受け、システムに反映される流れです。商工会議所地区は地域の商工会議所へ発行を依頼し、発行された様式4のPDFを電子申請システムへアップロードする流れです。様式4の手続きを終えただけでは申請完了ではありません。最新の地区別案内に従い、必要書類をそろえて最終の申請まで行います。根拠:公募要領p.22「8.申請手続」

6. 想定シナリオ:新商品の案内に顧客管理を使う

以下は架空の会社「こもれび食品」の想定シナリオです。hirostaやお客様の実績、対象経費として認められた事例ではありません。

同社は、新しい贈答用商品の販路を開拓するため、チラシで案内し、問い合わせのあった顧客の希望や商談状況を管理する仕組みを検討しています。担当者は次のように切り分けます。

  • 販路開拓の計画:どの顧客に何を案内し、問い合わせから商談・販売へどうつなげるかを整理する。
  • 顧客管理の機能:希望商品・対応履歴・次の対応を記録する機能について、計画との関係を説明し、ウェブサイト関連費の条件を確かめる。
  • チラシの費用:商品・サービスの販路開拓を目的とする広報費の条件を確かめる。ほかの費目を足すだけでシステムの対象可否が決まるとは考えない。
  • AIによる案内文の下書き:独自機能の開発や汎用AIの利用料を別項目にし、対象可否を事務局に確認する。実際に送る案内文と送信先は人が確認する。
  • 既存の事務ソフトの更新:更新料は対象外として、自己負担の予算と分ける。

このように、計画・機能・費用を分けると、商工会・商工会議所や事務局に確認する内容が具体的になります。上限を使い切ることよりも、補助がなくても維持できる費用と運用体制かを経営者が判断することが先です。

7. 相談前に整理すること

最初に、販路開拓の目的、必要な機能、費用の内訳、導入・支払い予定をまとめましょう。経営者は計画と資金、現場の担当者は顧客情報の管理方法と運用、経理担当者は見積り・支払いの証拠を確認します。地域の商工会・商工会議所には計画と様式4の準備を相談し、費用の対象可否が不明なら補助金事務局へ問い合わせます。

hirostaには、社内の業務改善計画の整理や、自社サービスの内容・費用・導入時期についてご相談いただけます。申請書や申請用の事業計画書の作成・修正、提出の代行は行いません。支援範囲はサービス・料金、販促文づくりの業務はSNS・販促文、地域の相談の入口は広島の中小企業向け案内をご覧ください。