1. 枠を選ぶ前に、必要な機能を確かめる

「請求書の入力を減らす」「注文から売上計上まで転記を減らす」では、必要な機能が違います。AIを使うかどうかより先に、入力から確定までの工程を書き出します。

比較する点 通常枠 インボイス枠(インボイス対応類型)
必須のソフト 1種類以上の業務プロセスを持つもの。汎用・自動化・分析ツールだけでは不可 インボイス対応の会計・受発注・決済のうち1機能以上を持つもの
補助額と機能の条件 5万円以上150万円未満は1プロセス以上。150万円以上450万円以下は4プロセス以上 50万円以下は1機能以上。50万円超〜350万円以下は2機能以上
ソフト以外の費用 登録ソフトに関連するオプション・役務 登録ソフトに関連するオプション・役務と、条件を満たす機器
パソコン等の購入 補助対象外 対象ソフトと合わせて導入し、その使用に資するものが対象になり得る

根拠は通常枠の案内とインボイス対応類型の案内、それぞれの公募要領です。表の金額は購入価格ではなく補助金の額で、上限まで受け取れるという意味ではありません。

通常枠には「会計・財務・経営」「供給・在庫・物流」などの業務プロセスがあります。一方、インボイス対応類型で数えるのは「会計」「受発注」「決済」の機能です。見積書・納品書・請求書を3種類出せることを、3機能や3プロセスと数えないでください。登録された区分と機能を支援事業者に確認します。

2. インボイス対応類型は、補助額の帯で機能数と補助率が変わる

ソフトウェア購入費・導入関連費の補助額は、次の区分です。クラウド利用料は最大2年分が対象ですが、すべての費用が同じ期間で対象になるわけではありません。

補助額の範囲 機能要件 補助率
50万円以下 会計・受発注・決済のうち1機能以上 中小企業は3/4以内、小規模事業者は4/5以内
50万円超〜350万円以下 同じ3つのうち2機能以上 50万円以下の部分は上記と同じ。50万円を超える部分は2/3以内

1機能だけなら上限は50万円です。2機能以上あっても、一律に350万円になるわけではありません。また、補助額が50万円を超えるとき、全額を2/3で計算するわけでもありません。6次以前の公募要領p.17と7次以降の公募要領p.15で区分を確認できます。

通常枠は原則1/2以内で、所定の最低賃金の条件を満たす場合は2/3以内です。ソフトの機能・費用だけでなく、自社に適用される条件を照合して比較してください。

連携やAI-OCRは、登録内容まで確認する

会計ソフトへ読み取り結果を渡す機能があっても、AI-OCR単体でインボイス対応類型の「会計」機能に数えられるとは判断できません。次のように分けて見積りを確認します。

  • ソフト本体:導入するプランとITツール番号、申請できる枠、登録された機能・プロセス。
  • 連携オプション:機能拡張・データ連携ツールとしての登録、本体との組み合わせ、対象期間。
  • 設定・研修・保守:登録された役務か、選んだソフトと対応する内容か、対象期間と上限。

機能名が似ていても、任意の個別開発や外部サービス利用料まで対象になるとは限りません。AIによる判定を根拠にせず、公式のITツール検索とIT導入支援事業者で登録内容を確かめます。

3. パソコンだけの申請はできない

インボイス対応類型はソフトウェアの導入が必須です。機器だけの購入や、既存ソフトを使うためのパソコンの買い替えだけでは申請できません。

機器の区分 補助率・補助上限額 主な確認点
PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機 1/2以内・10万円 対象ソフトと合わせて購入し、継続利用に必要最低限の機器一式か
POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機 1/2以内・20万円 決済機能を持つ登録ソフトを利用するための、事前登録されたパッケージか

上限額は補助額で、機器1台ごとに受け取れる額ではありません。PC等はソフトの購入先に選んだIT導入支援事業者から購入する条件があり、コンソーシアムの場合は構成員を含みます。PC等の機器自体のITツール登録は不要ですが、POSレジ等は登録が必要です。価格・用途の妥当性も確認対象です。

詳しくは6次以前の公募要領p.14〜17、7次以降の公募要領p.12〜15を参照してください。「ソフトを一緒に買えばどんな機器でも対象」と考えず、用途、購入先、ソフトとの組み合わせを確認します。

4. 6次以前と7次以降の要領を分けて読む

2026年10月25日時点で、通常枠とインボイス対応類型の6次締切は10月30日(金)17:00です。公式スケジュールで公募回を確認し、6次以前の要件を7次以降へそのまま当てはめないでください。

今回比較した機能数・補助額の帯・機器の条件は、6次以前と7次以降の要領で共通です。一方、7次以降の制度変更のお知らせには、給与の申請要件の追加と、最低賃金関連の加点要件の変更が示されています。通常枠では、補助率引き上げの条件も変わります。

  • インボイス対応類型:2022〜2025年にIT導入補助金の交付決定を受けた事業者は、6次以前から1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上などの要件があります。7次以降は、申請年度を基準に1年後の3.5%以上の向上も必要です。医療・介護・社会福祉・学校等の所定の適用除外も要領で確認します。すべての申請者に一律の賃上げ要件が追加された、という意味ではありません。
  • 通常枠:補助率2/3の判定期間は、6次以前が2024年10月〜2025年9月、7次以降が2025年10月〜2026年9月です。各期間の地域別最低賃金以上・改定後の最低賃金未満となる従業員の割合・月数を、公募回に合わせて確認します。給与要件の追加も、申請額・過去の交付決定歴・適用除外によって確認が必要です。

ここでは枠と経費の判断に絞っています。通常枠の給与要件、申請準備、交付決定後の契約時期、入金までの資金準備はAI導入と補助金の記事を参照し、申請時には該当回の公式要領で確認してください。

電子取引類型は別の条件

インボイス枠の電子取引類型は、発注側が導入し、受注側の取引先にアカウントを無償発行して使ってもらえる、インボイス対応の受発注クラウドが対象です。自社の会計ソフト導入と同じ条件ではありません。

電子帳簿保存法に対応する保存機能があることだけで、この類型になるわけでもありません。保存の運用は電子取引データの保存の記事で別に整理しています。

5. 枠と費用を確認する5つの手順

  1. 自動化したい業務と必要な機能を書き出す:読み取り、仕訳候補、受注入力、発注、入金確認などを分けます。原本照合や発注・支払いの承認を誰が行うかも決めます。
  2. 登録されたITツールを確認する:プラン・機能・ITツール番号を記録し、通常枠の業務プロセスとインボイス対応類型の機能をそれぞれ確認します。
  3. 補助額の帯と機能数を照合する:購入総額と補助額を分け、必要のない機能を上限額のためだけに増やさないようにします。
  4. 機器が必要か、費用を分けて確認する:既存機器で足りるかを確かめ、ソフト・連携・役務・機器の見積りと対象期間を分けます。補助対象外の費用も含めて自己負担を把握します。
  5. 支援事業者と公式窓口に確認する:申請回、過去の交付決定歴、給与要件、機器の購入先などを伝え、不明点は事務局に確認します。社内の責任者が費用と導入時期を判断します。

業務の進め方は、請求書処理・会計連携と見積書・発注書・納品書の作成も参考にしてください。制度の全体像とhirostaの対応範囲は助成金・補助金、支援内容と料金はサービス・料金で案内しています。